ビンス・カーター

写真=Getty Images

代名詞スラムダンクで達成した金字塔

感謝祭前日の11月21日、今シーズンがNBAキャリア21年目のビンス・カーターが、史上22人目の通算2万5000得点という金字塔を成し遂げた。

キャリア1423試合目の終盤、カーターが、オフェンシブリバウンドを奪った新人ケビン・ハーターから受けたパスを代名詞スラムダンクで叩きつけた瞬間、本拠地ステイトファーム・アリーナは大歓声に包まれた。当のカーターは、しばしボールを大事そうに両手で抱えると、チームメートとハイタッチを交わした。

「最高の瞬間だった。これだけ長くやらせてもらえたら、達成できることはなんでもやりたいと思うもの。でも、2万5000得点は特別な瞬間」と語った41歳のカーターは、「何千人とプレーしてきたNBAで、エリートグループの一員になれたなんて、まだ信じられない部分もある」ともコメントした。

試合後、記念すべきボールを手渡されたカーターは、コートの中央に立ち、ホームの観客の声援に大きく手を振って感謝の気持ちを示した。

1990年代のドラフトで指名され、今もNBAでプレーしている選手は、マーベリックスのダーク・ノビツキーとカーターしかいない。2人は先日、今も現役を続ける理由に『バスケットボール愛』を挙げた。またもNBA史にその名を刻んだカーターは、改めて、今もプレーし続ける理由を述べた。

「今もプレーするのが大好きなんだ。続けるために必要なことなら、何でも好んでやってきた。自分がすべきことは、試合に出ること、プレーする準備、シーズンを戦う準備を整えること。それが好きなことなんだ。頻繁に長くやる秘訣を聞かれるけれど、秘訣は、自分が好きなことをするために必要なことをやるのが好き、ということだね」

若い頃は超ハイレベルな身体能力を駆使するスタイルだったが、キャリアを重ねるに連れてリザーブとしての役割を受け入れ、若い選手を支えるメンターとしても球団から期待されるようになった。優勝を狙うために、出場時間が少なくても強豪に移籍するベテランが多い中、カーターは戦力としてコートに出て、プレーする機会を優先している。

ラプターズ戦後、カーターのロッカーには、自分より20歳以上年齢が下の選手たちが群がり、シューズや彼が身に着けた物を記念として持って行かれたという。カーターは、若い選手たちへの思いを、こう語る。

「うちの若い選手の中には、今日のような光景を見る機会を得られる選手も出てくる。自分たちの目標にするために、その瞬間を脳裏に焼き付けるんだ。今日のような瞬間を見せてあげる機会を彼らに与えることが大事なんだ」

コンディションが良好で、気持ちがついて来れば、あと数年は現役を続けるかもしれない。選手として進化を続けるビンス・カーターのプレーは、オールドファンにとってだけでなく、最近NBAを見始めたファンにとっても、一見の価値がある。