柴田柑菜&イゾジェ・ウチェ

京都精華学園の3年生、柴田柑菜とイゾジェ・ウチェは、京都精華中から高校へと進み、1年から主力としてウインターカップを戦ってきた。昨年のウインターカップ準優勝からチームはさらにステップアップして、インターハイで初の全国制覇を果たしている。下級生にも優れた選手はいるが、チームを支え、引っ張るのは三年生の自分たちだと、柴田もウチェも気合いを入れて、高校バスケ最後の大会に挑む。

「怒ってる雰囲気の時もしゃべって笑って終わります」

──まずはそれぞれの自己紹介からお願いします。

柴田 3年生の柴田柑菜です。得意なプレーは3ポイントシュートで、中学3年生の時に全国ベスト8、高校2年のインターハイ3位、ウインターカップが準優勝で、今年はインターハイで優勝しました。U17日本代表に選ばれています。好きな食べ物は果物で、最近ハマっているドラマは『君の花になる』です。趣味は音楽を聴くことで、基本K-Popが好きなんですけど最近はJ-Popもよく聴きます。

ウチェ 3年生のイゾジェ・ウチェです。好きな食べ物は特にないんですけど、日本の食べ物だと味噌汁とかチャーハンが好きです。趣味はダンスで、踊るのが好きです。あとは映画を見るのが好きです。

柴田 ウチェは誰とでもしゃべるフレンドリーな性格で、学校生活はいつも笑顔で過ごしています。バスケになるとチームをまとめてくれて、言葉は違っても日本語を上手く使って全員に伝わるように一生懸命に言葉を選ぶのが伝わってくるので、みんなそれを理解しようとしてウチェについていく感じです。

──中学からずっと一緒ですよね。ケンカすることはありませんか?

柴田 たまにケンカしますね。ケンカと言うより、自分はこうした方がいいって考えを言って、みんなそれを聞いてくれるんですけど、ウチェはウチェで考えがあって、それがブレないから、練習中とかたまに結構言い合うことがあります。

ウチェ 怒ってる雰囲気の時もしゃべって笑って終わります。それで次から普通にしゃべります(笑)。

──ウチェ選手は日本語がかなり上手ですね。柴田選手から見て上達ぶりはいかがですか?

柴田 最初は日本語が分からなかったからずっと英語でしゃべってて、私は英語が全くできないからコミュニケーションが取りづらいところはありました。中3でまだ単語がしゃべれるようになったぐらい。ウチェは英語でしゃべって私たちは日本語で返事をしてたんですけど、高校になってすごくしゃべれるようになりました。最近は英語はほとんど使わず、日本語で何か言ったら日本語で返してくれるので、かなり勉強を頑張っているんだと思います。

ウチェ みんながしゃべるのを聞き取るのが勉強になります。本で勉強するだけじゃなく、みんなとコミュニケーションしたら日本語が上手くなりました。

柴田柑菜&イゾジェ・ウチェ

「同い年の子とは6年間一緒、性格とか癖とかもすごく分かります」

──キャプテンに指名されたのも、そういう勉強熱心なところが周囲に認められたからでしょうね。

ウチェ キャプテンは「なんで?」って、すごくびっくりしました。でも、いつも試合で自分が引っ張ろうとしているけど、自分のプレーもできていないしチームも引っ張れていないので、キャプテンになったらチームの中でもっと引っ張るようになる、その力がついて強くなると思って、山本校長先生は私をキャプテンにしたんだと思います。

──柴田選手は副キャプテンですね。「自分がキャプテンじゃないのか」とは思いませんでしたか?

柴田 最初は「自分がキャプテンじゃないんだ」って思うところがあって、他の3年生もそういう気持ちがあったと思います。でも留学生のウチェがキャプテンだから、自分は副キャプテンとして言葉、コミュニケーションのところでしっかり支えていこうという気持ちにすぐなれました。

ウチェ 伝えることで困っている時は彼女が助けてくれます。コートの中だけじゃなくていろんなところで、私ができないことを助けてくれます。

──中高一貫の6年間で良かったことは何ですか?

柴田 中高一貫で上下関係はあるけど厳しいわけじゃなくて、中学生と高校生でよくしゃべるのが良いところだと思います。同い年の子とは6年間一緒なので、性格とか癖とかもすごく分かります。

ウチェ 日本に来た時はすごくホームシックがあったけど、周りにみんながいて、山本校長先生も支えてくれました。

──京都精華で過ごした中で、一番悔しかったこと、辛かったことは何ですか?

柴田 中学では中3の全中で、予選リーグで勝っていた八王子第一中に決勝トーナメントで負けたことです。高校ではユニフォーム争奪戦が激しくなって、同学年の他の選手がユニフォームを着ているのに自分が着れない時はすごく悔しい思いをしました。もう一つは高2の夏前に膝をケガしたんですが、自分の学年では私がみんなを引っ張っていかなきゃいけないという気持ちがあったのにケガしてしまって、それが悔しかったです。

ウチェ 全中の準決勝で八王子第一中に負けたのは悔しかった。チャンスはあったのに最後に負けたのが悔しかったです。中学生の時に高校ではインターハイでもっともっと活躍すると言っていたのに、コロナでインターハイがなくなったのも悔しかったです。

柴田柑菜&イゾジェ・ウチェ

「試合をもう一度見ても、ウチはみんな気持ちが全然なかった」

──自分が一番成長できたと思うことは?

柴田 去年のウインターカップが終わって自分たちの代になったんですけど、それまで3年生に甘えている部分があって、下級生にも上手い選手がいっぱいいる中で、自分がその子たちに甘えちゃいけない、自分が引っ張らなきゃいけないという気持ちが大きくなったことです。去年のウインターカップから夏までの間は、今までで一番自分が成長できた時期だと思います。あとは日本代表を経験したことで、代表での経験を持ち帰ってプレーに反映させたいと意識しました。

ウチェ 山本校長先生がいつもジェシカ(2年生のディマロ・ジェシカ・ワリエビモ・エレ)と私を比べて、「先輩が後輩に負けるぞ」、「後輩に抜かれてユニフォームを着れないぞ」と言います。だから今頑張らないといけないと、負けない気持ちを持ってやりました。自分が足をケガしている時に練習でみんなのすごさを見て、足が治ったらいろんな部分でもっともっと頑張るようになりました。

──インターハイでは初優勝を経験しました。その後のトップリーグも含めて、どんな経験でしたか?

柴田 インターハイ優勝は、最初は実感がありませんでした。最後の笛が鳴った瞬間もあまりワーッとはならなくて、バスに戻ってからようやく、みんな「やったー!!」みたいな感じになりました。でもトップリーグで桜花学園に負けた悔しさが大きくて、私は残り2分で足が攣っちゃったんですけど、1年生が出ている状態だったので、ここは3年生として出ないとダメだという気持ちで山本校長先生に「行けます」と言って出たんですが、そこでミスもあったし、最後は桜花学園の菊地(実蘭)選手に3ポイントシュートを打たれたのも自分だったので、その責任をすごく感じました。

ウチェ インターハイで桜花学園と対戦した時、前の日の夜に全員がすごく気持ちが入っていました。試合も最初から必死になってディフェンスをして、後半、桜花学園に追い詰められた時に「どうしよう」と弱気な気持ちになりましたが、チームメートから励ましてもらい、何とか最後まで強い気持ちで戦えたかと思いました。逆にトップリーグではインターハイの時みたいな気持ちがなかったと思いました。インサイドのポジション取りからリバウンドまで何もできなかったので悔しかったです。ウインターカップではもう一度チーム一丸となってインターハイの時のように強い気持ちでリベンジをしたいです。

──やはりウインターカップでは桜花学園がライバルになりますか?

柴田 一番は桜花学園ですけど、その前の1試合1試合を戦っていくのが大事だと思います。去年のインターハイもウインターカップも接戦で負けています。去年の先輩の思いも背負って、桜花学園に勝ちたい気持ちが強いです。

ウチェ 桜花学園に勝ちたいです。同じポジションの選手には負けたくないです。

──それでは最後に、ウインターカップでどんなプレーを見てほしいか教えてください。

柴田 京都精華学園の特長はディフェンス、ルーズボール、リバウンドからの速攻とかインサイドとアウトサイドを上手く使って攻めるバスケットをするので、そこに注目してください。

ウチェ いつも応援ありがとうございます。コートに出ている5人だけじゃなく、ベンチにいる選手、ベンチに入れていない子たち、周りの方々の応援があるおかげで頑張れています。応援してくださる方々の気持ちにコートに出ている選手がプレーで応えて、必ず優勝したいです。