京都精華学園を率いて48年、山本綱義のコーチング哲学(後編)「留学生が来ることで日本のバスケのレベルが上がる」

京都精華学園を率いて48年、山本綱義のコーチング哲学(後編)「留学生が来ることで日本のバスケのレベルが上がる」

2022/12/15 18:30
山本綱義

京都精華学園は昨年、ナイジェリアからの留学生イゾジェ・ウチェが2年生、代表でも活躍する堀内桜花と八木悠香が1年生の下級生チームでウインターカップ決勝へと進出。そのメンバーが引き続き主力を務める今年は、夏のインターハイで初の全国制覇を果たし、ウインターカップでも優勝候補として注目を集める。そんなチームで、教頭、校長、今は理事長と多くの職責をこなしながら中高一貫の京都精華学園の女子バスケ部の舵取りを48年に渡り一手に担う山本綱義コーチに話を聞いた。

「48年間、1mmずつ成長してインターハイ優勝というご褒美をもらいました」

──インターハイ初優勝は大きな出来事でした。バスケへのモチベーションがさらに上がったのでは?

ウチは1mmずつ成長するチームです。48年間、1mmずつ成長してインターハイ優勝というご褒美をもらいました。「もっとご褒美をくれ」という気は正直あまりないのですが、選手たちはトップリーグで桜花学園に負けた悔しさをすごく感じているので、そこをクリアさせてやるのは指導者の責任だと思っています。

──今年の京都精華学園はどんなチームですか?

とにかく走り切るチーム、バテないチームですね。「やるべきことをちゃんとやればウチは負けない」と選手たちには言っています。対戦相手がどうこうと言うより、まず自分たちのやるべきことを徹底させています。一番にディフェンスを頑張る。次にリバウンドとルーズボールを1本でも多く取って攻めるチャンスを増やせるように徹底しています。ディフェンス、リバウンド、ルーズボールは一番単純で一番辛いことですが、これを徹底することでターンオーバーやシュートミスがあってもカバーできると思っています。

桜花学園と対戦して気持ちで負けずに渡り合えるのは、体力があることへの自信のおかげだと思っています。身体能力じゃなくて体力がどこまであるか。1歩2歩の攻防の中で、1分は息を止めても鋭い動きを続けられるぐらいの体力が必要だと思います。とにかく相手よりも頑張れるチームを目指して、遅筋と速筋の両方をもう一段階強化すべく、今も足腰を鍛える練習ばかりやっています。

──イゾジェ・ウチェ選手が3年生になり、2年生の堀内桜花選手と八木悠香選手と息の合ったプレーを見せています。チームの一体感はどうやって生まれてきましたか?

私と家内で寮をやっておりますので、中学から預かって育ててきたことで心が通じ合う、理解し合えるところに繋がって、それがプレーにも生きているんじゃないかと思います。

──寮もやっているんですね。奥様が寮生の食事を作っているんですか?

そうです。7、8年前にラリア(アディアウィコエ・ラリア・ババ・アメイド)が来た時から寮で預かるようになって、今は8人を預かっています。朝ご飯は私も一緒に5時起きで作っています。堀内は中学1年から来ていて、寮生活も含めてコミュニケーションを取って、性格やバスケに対する情熱が共有できたから、今の繋がりができていると思います。

山本綱義

「走る留学生と、それに合わせる日本人の選手たち」

──桜花学園と同じ山に入りました。ウインターカップの組み合わせを見た感想はいかがでしたか?

第1シードに入れていただいたことはすごくうれしいんですが、その反面ものすごく責任も感じていて、相手どうこうじゃなくプレッシャーに自分たちが押し潰されないかの不安もあります。それでも平常心で戦えるかどうか、これがウインターカップに向けて一つ課題になってきます。

──ウィンターカップに向けて、この記事を読むバスケファンの皆さんにメッセージをお願いします。

Wリーグの姫路イーグレッツでプレーしているラリアが留学生として入って来た頃は、とにかくゴール下でリバウンドを取ってシュートを入れればいい、リバウンドを取って外に放り投げてアウトサイドを打たせてくれればいい、という単純なバスケをやっていました。でも、今のキャプテンをしているウチェは留学生でも走れますし、センターだけじゃなくフォワードもできる、そういう指導をしてきました。そうするうちに、全国のいろんなチームで留学生が走るようになっているんですよ。八木が代表に行って国際試合をする時も、普段ウチで留学生と一緒に練習しているから、全然怖くなかったと言います。

正直、「留学生を取ってまで勝ちたいか」と言われることもあります。ですが、私は留学生が来ることで日本のバスケのレベルが上がる、ウチだけじゃなくいろんなチームに留学生がいることで、良い変化があるじゃないかと思っています。

いろんなチームで留学生がこれまでゴール下だけを求められていたのが、走るバスケットをどんどんやるようになっています。そうすると、日本人選手もそれに合わせたプレーをするようになります。そういった留学生を育てることで、日本のバスケの成長に少しは貢献できていると思っています。走る留学生と、それに合わせる日本人の選手たち。留学生を上手く使いながら、自分たちの能力を出しきることができる、その融合させたプレーを見ていただきたいと思います。

私はバスケを通じて生きる力、パワーを生み出したいです。応援する皆さんも、京都精華学園のバスケから是非パワーを感じ取っていただきたいです。

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