藤井祐眞「天皇杯で負けたので、やり返すことができて良かった」
川崎ブレイブサンダースvs横浜ビー・コルセアーズによる水曜ナイトゲームは、ゾーンディフェンスで横浜BCオフェンスを封じた川崎が98-60での快勝を収めた。
両チームともに最初からゾーンディフェンスを敷くと、立ち上がりは拮抗した展開に。その中で横浜BCがすぐにマンツーマンに切り替えたのに対して、川崎はゾーンを継続し、さらにゾーンプレスを行ったりとディフェンスで仕掛けていく。横浜BCは河村勇輝がスピードで川崎ディフェンスを崩し、チームメートの3ポイントシュートチャンスを作り出すが、この日の横浜BCは第1クォーターで3ポイントシュートが9本中1本成功となかなか当たりが来ない。対する川崎はジョーダン・ヒースが第1クォーターで2本の3ポイントシュートを成功させると、マイケル・ヤングジュニアとのアリウープも決めて拮抗した展開から抜け出した。さらに川崎はディフェンスリバウンドからのトランジションで主導権を握り、第1クォーターを26-15で終えた。
第2クォーターの立ち上がり、川崎は前田悟、篠山竜青、納見悠仁による3連続3ポイントシュートでリードを広げる。この日はチームとして3ポイントシュートが当たっていたこともあり、横浜BCディフェンスを外に引きつけると、ニック・ファジーカスとヒースのアリウープや藤井祐眞とヒースのツーメンプレーなど、インサイドからも得点を重ねていった。対する横浜BCは3ポイントシュートが当たらず、インサイドにボールを集めたが、ファジーカス、ヒース、ヤングジュニアとオン3の川崎を前にペイントエリア内が混み、タフショットに追いやられた。
45-30とリードして迎えた後半も川崎はディフェンスの強度を維持して横浜BCに得点を与えない。3ポイントシュートにもしっかりチェックに行き、インサイドにボールを入れられてもヒースやファジーカスがブロックで阻止する。そして、ディフェンスリバウンドからの速いバスケットで第3クォーター残り2分36秒には69-39とリードを30点の大台に乗せた。その後も川崎は主導権を渡すことなく98-60で勝利し、先日の天皇杯での雪辱を果たした。
この試合で川崎はフィールドゴール成功率53%を記録し、ヒース、ファジーカス、ヤングジュニアの3選手がダブル・ダブルを達成。藤井も11得点3リバウンド4アシストで続いた。得点面だけでなく、ブロックショットも7本マークするなど、攻守で横浜BCを圧倒してみせた。対する横浜BCはフィールドゴール成功率が32%に留まっただけでなく、3ポイントシュートも36本中6本成功、そしてフリースローも11本中2本成功と最後までシュート精度を上げることができなかった。
河村勇輝「こういった試合は二度とシーズン中にしたくない」
川崎は10月31日に行われた天皇杯3次ラウンドで一時は15点のリードを奪ったものの、残り0.9秒で河村に決勝点となる3ポイントシュートを決められ、74-77で敗れていた。
それだけに、藤井が試合後の会見で「天皇杯で負けてしまった相手だったので、やり返すことができて良かったです」とコメントすれば、佐藤賢次ヘッドコーチも「天皇杯で負けた相手ということで、準備の段階からチーム全体が『絶対にやり返す』という雰囲気がありましたし、その気持ちがしっかり表れていました」と振り返った。
この試合での川崎は、河村がコートに立っている時間帯の多くでゾーンディフェンスを敷いて、自由にゲームコントロールをさせなかった。その結果、今シーズンは平均15.1得点、9.6アシストを記録している河村を、この日は15得点を取られたものの、アシストは5本に抑えた。また、天皇杯では決勝3ポイントシュートを含む18得点と9アシストを許していたこともあり、藤井は「彼は素晴らしいポイントガードですし、そこにチームとしても個人としてもやられたくない気持ちはあります」と語った。
「やっぱりアシストに長けた選手で、河村選手を起点として走られたり、彼にペイントアタックされてパスをさばかれて、オープンを作られてシュートを打たれたりすることが多いです。10本、15本もアシストされる展開だと本当に横浜さんのペースになるので、そうではなくて河村選手を迷わせてフローターやステップバックでシュートを打たせたり、そういうところの駆け引きが重要になってきます。そこで今日はゾーンをしたのが上手くいったのかなと思います」
対する敗れた横浜BCの河村は「40分間、自分たちの流れを持って来れず、ずっと川崎さんのペースで戦ってしまったのが反省点でしたし、自分たちの現在地が知れた試合でした」と振り返った。
また、ともに負けられない一戦という気持ちで挑んだ試合だったが、結果的にはワンサイドゲームとなったことについて、横浜BCと川崎とでは「ハングリーさが違った」と河村は言う。「この試合にかける思いは、もちろん僕たちもありました。でも、それ以上にその思いを川崎さんの方から試合を通じて強く感じましたし、それが結果に繋がっていました。やっぱり僕たちはまだ何も成し遂げていないので、そこは強豪の川崎さんに学ぶべきものがあると思います。自分たちはいつ、どんな相手だってチャレンジャー精神を持って戦わないといけないんだということを知れた試合でした。それにこういった試合は二度とシーズン中にしたくないです」
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