平岩玄

文=丸山素行 写真=バスケット・カウント編集部

「スカウティングされてもかわせる自信」

東海大は関東大学1部リーグを18勝4敗で終え、3年ぶり5回目の優勝を果たした。それぞれチームトップとなる264得点、156リバウンドを記録したチームの大黒柱、平岩玄は最優秀選手賞を受賞した。

「連敗もしましたし、22試合全部が順調だったわけじゃなかったです」と振り返るように、序盤戦で先発メンバーを上級生から下級生に入れ替えたり、勝てば優勝が決まる状況で神奈川大に敗れ、優勝が最終戦に持ち越されるなど、その道のりは決して平坦ではなかった。

それでも優勝を勝ち取れたのは高い『修正力』があったからだと平岩は言う。「負けから学んで成長して修正してこれた。修正力が強みだと思いました」

その源となったのが映像チェックだ。己のプレーを見返し、チームとしてのルールを再確認する。良い部分は継続し、悪い部分は修正する。そうした意識をすべての選手が共有し、さらに学生コーチも交えてミーティングの機会を作る。「何ができていて、何ができていないか、学生コーチとも話し合います。ミーティングでそれを共有して、1週間で修正する力がついてきました」

平岩もパソコンを買い、個人的に映像を見るようになったというが、それは大学3年目で自身に変化を求めたからだ。「大学での2年間が終わって、3年目で何か変えなきゃいけないと思って見るようになりました。Bリーグはお手本じゃないですか。そういうのを見て、相手がこういうスクリーンをかけてるからこうしよう、というのは考えます」

Bリーグに関連して、「実はアルバルク(東京)と同じプレーを取り入れています」と平岩は明かした。明かしてしまって問題ないのかが気になったが、「スカウティングされてもかわせる自信はあるので」と強気な笑みを見せる。

平岩玄

学年に関係のない一体感「みんな兄弟みたいです」

東海大の躍進のカギとなったのは映像チェックだが、それを可能にしたのがチーム全体の仲の良さだった。「下級生だから意見できないというのは全然なくて、みんなで活発に意見を出し合っています。もうタメ口ですよ(笑)。だからみんな兄弟みたいです」

体育会系の部活は上下関係が厳しく、下級生が意見しづらい環境というイメージがあるが、東海大はそうではない。「威圧的な雰囲気はない」と平岩が説明するチームの雰囲気は、それは陸川章ヘッドコーチからのアドバイスがあって変わったという。

「僕はもともとトップダウンで言っちゃっていたんですが、陸さんから『こうしてほしいじゃなく、その上でどう思うか、聞く耳をもちなさい』と言われました。それで自分がいろいろな意見をコーチやキャプテンに繋ぎました。それでバスケットはまとまってきたと思います」

リーグ戦を終えたばかりだが、約1カ月後には大学日本一を決めるインカレがスタートする。できうる限りの努力を続け、リーグ戦を制し、さらには最優秀選手賞を獲得したにもかかわらず、平岩に過信は見られない。

「優勝したのもたまたまだと思っています。大東大とも差がないですし、何が起きるか分からないです。去年の負けも知ってますし、『慢心、過信はするな』と陸さんがよく言うので」

「インカレは優勝しなくちゃいけない、とは思ってないです。またリーグでうまくいかなかったシーンとかを全部集めて、守られたらどうするとかを積み上げていきます」

最後まで『驕り』という言葉とは無縁な平岩。4年生と過ごす最後の大会で、これまでの努力の結晶をコートで表現してほしい。

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