前半はスローペースな三河が支配
サンロッカーズ渋谷がホームの青山学院記念館にシーホース三河を迎えた一戦。三河の老獪なハーフコートバスケットに苦戦を強いられるも、速攻での得点で15-0と圧倒し、トランジションで活路を開いたSR渋谷が76-71と逆転勝利を収めた。
先行したのは三河。桜木ジェイアールのポストプレーや、金丸晃輔のシュートなど、個を生かしたハーフコートバスケットが機能した。SR渋谷では第1クォーターでベンドラメ礼生が、第2クォーターでライアン・ケリーがそれぞれ8得点を挙げる活躍を見せるも、3ポイントシュートが決まらず(11本中1本の成功)、25-34とリードを許して前半を終えた。
第3クォーターに入っても三河のペースは変わらない。残り4分を切り、このクォーターで11得点の荒稼ぎを見せた金丸のバスケット・カウントでこの試合最大となる12点のリードを奪った。
だが、SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「三河に合わせるのか、こちらのやりたいことを通すかのせめぎ合いでした。迷いながら結局はやりたいことを貫けたので良かった」と試合後に話したように、三河のハーフコートバスケットに付き合わず、ペースを上げて反撃に転じた。
その立役者となったのは伊藤駿だ。ディフェンスリバウンドからボールをプッシュし、自らフィニッシュまで持ち込むコースト・トゥ・コーストを連発。山内盛久もボールをプッシュし、アウトナンバーを作って、アーリーオフェンスの機会を作り出していった。テンポアップが功を奏したSR渋谷は、ベンドラメのドライブで第3クォーターを締め47-51と4点差まで詰め寄った。
トランジションでリズムをつかみ勝ち切ったSR渋谷
第3クォーターの勢いそのままに、リズムをつかんだSR渋谷は残り7分30秒に杉浦佑成の3ポイントシュートで同点に追いつき、続けてベンドラメがミドルシュートを沈めて、この日初めてリードを奪った。
SR渋谷はこの試合の前まで3勝10敗と不振。終盤に追いつくも勝ち切れない試合が多くあったが、この日は最後まで集中力が持続し、特にディフェンス面で三河を上回った。金丸に17得点を許したが、広瀬健太と杉浦が交互にタフなディフェンスを続けていた効果が表れ、最終クォーターを0点に封じる。また桜木のシュートもリングに嫌われ2得点に抑えるなど、三河のキーマンを封じることで主導権を握り続けた。
アイザック・バッツのフリースローで2点差に詰め寄られるも、残り18秒にライアン・ケリーがシュートをねじ込み72-68と2ポゼッション差を保つ。そして、金丸の3ポイントシュートが外れると、杉浦がファウルゲームのフリースロー4本をすべて成功させ、接戦をモノにした。
勝利した伊佐コーチは「オフェンスの部分で前半はテンポが遅かった。選手が自分たちでテンポを上げないといけないと話をして、伊藤と山内を先頭に全員でボールプッシュした。その結果、最後大事なところで向こうのシュートがリングに嫌われたのかと思います」と後半のトランジションオフェンスを勝因に挙げた。
今シーズン初の連勝に「とても大きな1勝」
試合の終盤は、杉浦がジェームズ・サザランドとマッチアップした。「そこはミスマッチを作っていました。(ペースが)重くなるのでそこで攻めさせてました」との明確な狙いがあり、得意のランニングプレーをさせず、試合をコントロールした采配も光った。
一方、敗れた鈴木貴美一ヘッドコーチは「入り方は非常に良かった」と前半を振り返るも、「狩俣(昌也)君がファウルトラブルになって、そこでガード陣が1枚というのが苦しかったです。そこで激しいディフェンスができず、受け身のディフェンスになってしまい走られてしまった」と、速攻を防げなかったことを悔やんだ。
ファウルトラブルがあったにせよ、三河のパフォーマンスそのものは決して悪くなく、鈴木コーチも「我々も良かったですけど、調子を上げてますしサンロッカーズさんが良かったんだと思います」と総括した。
今日の勝利でSR渋谷は今シーズン初となる連勝を達成し、同率ながら最下位を脱出。伊佐コーチも「チームとしてとても大きな1勝になった」と語った。そして調子が上がってきた三河だけに、7連勝後の2連敗は手痛い結果となった。どちらがより調子を上げられるか、今日の第2戦は今後を占う大事な戦いとなる。
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