ライアン・ケリーを欠きながらも島根に勝利
サンロッカーズ渋谷は島根スサノオマジックとの連戦を1勝1敗で終えた。第1戦は前半で12点のリードを奪ったが、第3クォーターで失速し逆転されると、そのまま第4クォーターは17-30とビッグクォーターを許し79-95で敗れた。
第2戦も第1クォーターはリードして終えたが、第2クォーターは島根の機動力ある守備を前にペースが乱れ、後半の出だしで2桁ビハインドを背負った。それでも第2戦でのSR渋谷は、チームの代名詞でもあるハードなディフェンスで立て直した。島根のハンドラー陣にプレッシャーをかけて自由にオフェンスを組み立てさせずに、守備でつかんだ勢いをオフェンスにも繋げて延長戦へ持ち込んだ。タイムシェアを行っていたSR渋谷は最後まで疲れを見せず、堅守から自分たちのペースで試合を進めてオーバータイムを13-6とし、最終スコア102-95で勝利して同一カード連敗を防いだ。
この島根との第4節は、大黒柱のライアン・ケリーがコンディション不良で欠場したため、SR渋谷の外国籍選手はジェームズ・マイケル・マカドゥとケビン・ジョーンズの2人のみだった。それでも、帰化選手と3人の外国籍選手を擁する島根に対して、SR渋谷はジョーンズとマカドゥを中心にしつつ、計11選手が得点を挙げる全員バスケで勝利をつかみとった。
中でも石井講祐は3ポイントシュート2本成功を含む日本人選手で最多の14得点と5リバウンド5アシストを記録して勝利に貢献。石井は「第1戦に引き続きタフなゲームでしたが、昨日は第4クォーターの最後に離された場面で、今日は我慢してついて行って最後はしっかり勝ち切ることができました。同一カードで連敗しなくて良かったです」と第2戦を振り返った。
第1戦で敗れて迎えた第2戦はもちろん戦術的な変更はあったが、石井は「最後は気持ちというか。点差が離れそうな時も我慢して、みんなでハドルを組んで、最後のオフェンスでも攻めるところをみんなで共有してプレーできました。そういう意識統一の中でプレーできたのが大きかったのかなと思います」と全員が同じ方向を向いてプレーできた点を強調した。
この部分については、先に会見に現れた島根の安藤誓哉も「勝ちへのチームとしてのエナジー、まとまりを僕たちは見せつけられました」と語り、悔しさを露わにしつつも、SR渋谷のチームとしての姿勢にリスペクトを示していた。
「共通認識を高めていけば、チームはもっと良くなっていく」
2022-23シーズンは開幕して間もないが、SR渋谷は現在、中地区首位を走る三遠ネオフェニックスと同じ5勝3敗で2位につけている。石井はここまでの8試合を経て「バスケット自体の精度はだいぶ上がってきている」と手応えを語る。
「昨シーズンは10点離されると、さらに20点とか離された時もありましたが、今シーズンはそこで5点差に戻せています。今日みたいな試合もしっかり勝ち切れましたし、先週のオーバータイム(93-96で敗れた千葉ジェッツとの第2戦)はもうちょっとでしたけど、こういう戦い切れる試合が増えてきています。そこは昨シーズンよりも成長してきている部分だと思います」
こう語った石井は「戦う姿勢にプラスして、『この時間のオフェンスはここを攻めるんだ』とか共通認識を高めていけば、チームはもっと良くなっていくと思います」と目標である優勝に向けてのポイントとして、あらためて『共有認識』を強調した。
今夏には指揮官やコアメンバーが入れ替わるなど、変革の時を迎えたチームも多く存在した。その中でSR渋谷は伊佐勉ヘッドコーチ体制となって4シーズン目を迎えている。外国籍選手や日本人選手の入れ替えはあるが、ほとんどのメンバーがこの4シーズンは伊佐ヘッドコーチの下でプレーしてきた。
同じ体制が続くとマンネリ化してしまうこともあるが、石井はそれ以上に強みを感じていると言う。「ムーさん(伊佐ヘッドコーチ)体制で4年目なので戦術もですが、チームが大事にしている文化だったりがみんな無意識に身体に染みついている部分があります。新しい選手にもそれを伝えていますし、そこはみんなプライドを持ってサンロッカーズのバスケを表現できていると思います」
昨シーズンのSR渋谷は最後の一試合までチャンピオンシップの出場権を争っていたが、千葉Jとのレギュラーシーズン最終戦で2点差で敗れてポストシーズンに進むことなくシーズンを終えた。しかし、伊佐ヘッドコーチ体制で充実期を迎えている今、優勝の可能性はこれまでで一番高いと言える。一試合の重みを十二分に理解している彼らが、今夜の富山グラウジーズ戦でどんな戦いを見せるか。
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