千葉ジェッツは11月3日、4日のサンロッカーズ渋谷戦を、ともに終盤までもつれる接戦となりながら勝ち切った。キャプテン小野龍猛の手首骨折という戦力ダウンがありながらも、これで開幕節の連敗以降は負けなしの10連勝となっている。試合を重ねるごとにチーム力を着実に高める千葉を大黒柱として牽引する富樫勇樹、話題の新戦力の田口成浩に、ここまでの戦いぶりを振り返ってもらうとともに、Bリーグを代表する仲良しコンビである2人の関係も語ってもらった。
まるで付き合っている!? 公私ともに仲良しコンビ
──まずはSR渋谷との2試合を振り返ってもらえますか。
富樫 今の結果はどうであれSR渋谷はタレントが揃っていて力のあるチームであり、相手の勝率をあまり気にせずに試合ができたと思います。もちろん良い時と悪い時がありましたけど、ケガ人が多い中チームで助け合って連勝できました。そして10連勝は、開幕の2試合の時には想像もつかないようなことなので、まずはうれしく思います。
田口 この2日間ともに我慢できた。今日は第3クォーターに7点連続で取られても、そこから気持ちを切らさずに持ちこたえて粘り、相手に勢いを与えなかったことが勝因です。
──この10連勝の中で、チームのコンビネーションが良くなってきた手応えはありますか。
富樫 チームとしても、どの選手がどういうシュートを好きで、どういう動きをするのかが分かってきました。選手のローテーションはケガ人が出たことで変わってはいますけど、その中でもチームとしてのやるべきことが明確になってきているからこその連勝だと思います。
田口 その通りですね。自分も移籍してきてシューターというポジションでいかにシュートを決めるかが役割ですが、それに対して自分はボールを持ちながらシュートを打つというより、味方にスクリーンをかけてもらったり、ノーマークを作ってもらったりして決めるタイプです。そういったところで周りの自分に打たせようという気持ちも感じており、その期待に応えるだけです。ちょっとずつチームとしても、個人としても良くなっているかなと思います。
田口「もっとちょうだいって感じです」
──ここまでのお互いのプレーについてはどう感じていますか?
富樫 秋田の時は、何分以上は出ると出場時間が確保されていた感じもあったと思います。そこから結果を残さないとプレータイムがない状況というのは簡単ではないと思います。さらに違うチームに移籍して、新しい環境でやることの難しさの中、チームとして徐々に良くなるにつれて、すごくフィットしていると思います。まだ12試合を終えただけで、これからあと48試合もあるので、ファイナルに向けて1試合ずつ、良くなっていくだけですね。
田口 相変わらずちょこまかと動きまくって何をしているのか分からないですけど、その分結果を出してくれます。秋田で一緒にプレーしていて信頼もあり、何を考えているのかも雰囲気で分かります。同じチームにいることがすごい頼りになりますし、お互いの信頼関係はすごくあると思います。
──千葉は今、小野選手が離脱し、富樫選手もプレータイムを制限しないといけない状況など万全のメンバー構成ではないです。その中で、田口選手は今、自分の存在感を示すチャンスという思いはありますか。
田口 もちろん常にそういう気持ちは持っています。ケガ人がいて万全じゃない時、そこで自分のように控えの選手たちが結果を残し、『俺がいるぞ』とアピールする気持ちを持ってプレーすれば、もっとチームは良くなっていく。シュートを打つときは本当に王様の気持ちで何が何でもやる、みたいな思いです。
──以前と比べてお互いに進歩したと感じたところはありますか?
田口 代表も経験して落ち着けるようになったというか、よりコントロールできるようになった。無理をしないし、周囲の話をよく聞いてバスケット選手としてより大人になった。そういう面でがレベルが上がったと思います。ただ、プライベートはすごい子供で、コート外でのそういった面はよりひどくなったのかな(笑)。
富樫 Bリーグ1年目で対戦していた秋田の時とは役割が変わって、出場時間や得点の部分で数字は落ちているかもしれないです。ただ、それは千葉に来て、プレータイムをシェアする中では仕方がないことです。その中でも、今日みたいに途中から出てきて3ポイントシュートを決めるような活躍を常に続けてほしいです。シュートに関してはマークが空けば入るとは思うので、そこをうまくチームとして作っていきたいです。
田口 自分が出ている時に結構シュートを打たせようとしてくれるので、それをもっとちょうだいって感じです(笑)。
富樫 あとはディフェンスで気迫を出す部分が持ち味で、チームに勢いを与えてくれるので、そこは変わらずで良かったです。コート外は全然変わってないですね。実はテンションが常に高いわけじゃないことも、昔から知っています……(笑)。
秋田時代の仲間とは「特別なつながりを感じる」
──Bリーグで随一の仲良しコンビのイメージが定着している2人ですが、実は秋田で一緒だったのは約1シーズン半と長くはないですよね?
富樫 秋田では中村和雄ヘッドコーチの下での1年半で、体感では5年分くらいの練習量と精神的な疲れでした。
田口 1日が終わると、2日くらいの疲れとダメージがありましたね。
富樫 秋田でカズさん(中村和雄)の時に一緒にプレーした選手とは特別なつながりを感じている部分はあります。この前、新潟と対戦しましたが庄司(和広)ヘッドコーチは当時、現役選手でチームメートでしたのでうれしかったです。
──久しぶりのチームメートとなったことで、やりやすさは実感していますか?
富樫 どうですかね。家も近くて、コート上はもちろんそうですけど、それと同じくらいコートの外でプライベートでの時間が充実しているなと思います。
田口 自分の家も富樫が決めたようなものなので、千葉に来ていろいろと知らないことを富樫流に教えてもらっています。ただ、それが雑なんです。彼がやるから許されるようなことを僕に言ってきて、『それは富樫だからだろ』みたいなのはあるんですけど(笑)。飯も一緒に行けますし楽しいですよ。お互いに気を使わないので、それが一緒にいられる秘訣だと思います。
富樫 カップルみたいになってる(笑)。
──今週は水曜日に栃木ブレックス、週末に琉球ゴールデンキングスとトップチーム相手の試合が続きます。この注目の3試合についての意気込みを教えてください。
富樫 今、この2チームがすごく好調ですけど、この10連勝でどれくらいそういうチーム相手にできるか、という面でもすごく良い機会だと思います。まず、栃木とは今シーズン初めての対戦になります。しっかりと心の準備が必要なチームです。
田口 栃木も琉球も強いチームです。ケガ人がたくさんいますけど、やれるところをしっかり準備して、チャレンジャーの気持ちで臨めば自分たちは勝てるチームだと思っています。個人としては周りのチーム以上のチャレンジャーの気持ちで向かっていかないとダメだと思います。そういった準備をしっかりして立ち向かっていきたいです。
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