前日の雪辱を果たした圧巻の出来
栃木ブレックスは滋賀レイクスターズとの初戦を延長の末に落とした。それでも昨日の第2戦では、試合開始から激しいディフェンスで第1クォーターを30-6と圧倒。その後もディフェンスの強度を落とすことなく、98-61と大勝した。
第1戦での試合内容の悪さが第2戦のパフォーマンスを呼んだ。指揮官の安齋竜三は第1戦を終え、「ひどい試合内容だったので、全員に試合のビデオを見るよう伝えた」と話し、各々が己のプレーと向き合った。欠場した田臥勇太に代わって先発ガードを務めた渡邉裕規も第1戦では「甘さがあった」と認めた。
「昨日と気持ちを入れ替えて、最初のディフェンスから激しくできました。チームとして機能したので、これをスタンダードにしないといけないと2試合を通して思いました」と振り返り、「自分たちのディフェンスに対してプライドを持ってやったこと」を勝因に挙げた。
渡邉は終始試合をコントロールし、11得点2アシストを記録。目を見張るほどのスタッツではないが、出場していた時間帯の得失点差を表す数値は+34を記録し、どれだけチームを機能させていたかが分かる。
「ライアン(ロシター)とジェフ(ギブス)を起点にしながらやろうとは思っていました」と話した通り、渡邉は2人とのピック&ロールから次々とズレを作って、オフェンス優位な状況を生み出した。ロシターは初となるトリプル・ダブルを達成し、キャリアハイの13アシストを記録。もちろんロシターのオールラウンドな能力がなせる記録だが、渡邉がうまく崩したことも忘れてはならない。
「特別変えたところはないんですけど、今まで10何試合やってきたようなオフェンスをやれば、今日みたいなノーマークもできるし、良いオフェンスができる」とこれまでの積み上げに手応えを感じている。
それでも「オフェンスを意識するというよりはディフェンスを意識した」と話し、「しっかりリバウンドを取ったり、ルーズボールを取ったり、メンタルの部分だったりで今日は気持ちを入れ替えてギアが上がってできたのかなと思います」とあくまでディフェンスでの勝利だったと主張した。
「タフなスケジュールとタフな相手」
前日の反省を生かし、ディフェンスのインテンシティを高めた栃木に対し、滋賀レイクスターズのショーン・デニスヘッドコーチも「今日の試合はチャンピオンシップに行くようなチームが、勝ち続けるためには何が必要なのか、それを示すような試合内容になった」と称賛した。
目先の1勝にこだわることはもちろん大切だが、デニスコーチが表現したように、栃木が見据えているのはチャンピオンシップであり、その先にある栄光だ。ハイパフォーマンスを披露しようと、一喜一憂はしない。「目の前の試合に勝たないといけないですけど、これから東地区の強い相手と戦いますし、先を見ながらやらないといけない」と渡邉は言う。
対戦相手に意識を向けるのは当然だが、ハードスケジュールを戦い抜くコンディション調整も重要となる。ましてやハードディフェンスを貫く栃木であればなおさらだ。「移動もありますし、練習もあります。それだけ激しいディフェンスをすると消耗も激しいですし、オフェンスもレベルを高く保ちながらプレーしないといけない。タフなスケジュールとタフな相手、タフな試合が続くので慣れていかないといけない」
渡邉はタフという言葉を連呼したが、そうした苦労はやはり勝つことで報われるという。「勝った時じゃないですか。厳しいことを言われることはありますけど、負けた次の日は絶対に勝ってやろうと思って、今日みたいなプレーができたらホッとしますね」
昨日の勝利で栃木は10勝2敗とし、次節は同じく10勝2敗の千葉ジェッツと対戦する。「一番脅威なのはトランジションです。今日もそれを意識してトランジションを出させないようなイメージを持ってやっていたので」と異なる対戦相手に千葉の形を重ねていたことには驚かされたが、勝利という安らぎを得るために、渡邉は戦い続ける。