リーグで最も層の厚いウイング陣
主力のケガでプレーオフに出れなかった2年間で戦力を整えたウォリアーズが、見事に優勝した昨シーズンでしたが、新シーズンはクリッパーズがその再現を狙います。カワイ・レナードがシーズンを全休したのに加えて、ポール・ジョージも長期離脱しながらプレーオフ争いに絡むチームへと成長したことは、優勝への期待を大きく膨らませてくれます。
ニコラス・バトゥーム、マーカス・モリス、ロバート・コビントンの3人がベンチスタートの可能性もあるウイングは間違いなくリーグで最も層が厚く、実績のあるノーマン・パウエルだけでなく、若手のアミール・コフィーやブランドン・ボストンがプレータイムを得て成長したことはチーム力を引き上げました。スモールラインナップを好んで使ってくるクリッパーズですが、様々な特徴を持つ選手からチョイスするため、状況に応じて攻守のバランスを調整することもできます。レナードとジョージが戻ってくれば、『5人全員がウイング』というラインナップも組めるほど、充実しすぎています。
唯一、層が薄いセンターはイビチャ・ズバッツが10.3得点、8.5リバウンドといずれもキャリアハイの成績を残し、ゴール下の大黒柱として存在感を示せば、シューターのルーク・ケナードはディフェンスを引きはがすオフボールムーブに磨きをかけ、平均6.0本のアテンプトと3ポイントシュートを打ちまくったにも関わらず、45%の高確率を記録しリーグトップクラスのシューターへと成長しました。
そして、ディフェンス力やコーナーからのプレーでロールプレーヤーとしての優秀さを見せていたテレンス・マンは、ハンドラーとしてオフェンスの起点にもなり、その万能性にさらに磨きをかけ、シックスマンとして完璧とも言えるプレーを見せました。両エース不在はロールプレーヤーに過ぎなかった若手たちに、主役として重要な役割を担う機会を与え、見事に結果を残したのです。
今オフはジョン・ウォールまで獲得し、3チーム分くらいの戦力を揃えた印象すらあるだけに、従来以上にレナードには休暇を与えながらシーズンを戦うことができそうです。豪華すぎる戦力は起用法の難しさを生み出しますが、その答えはプレーオフまでに見つければ良く、時間をかけてベストな組み合わせを見つけることになります。それくらいの余裕を見せても、しっかりと勝率を残せそうな戦力が揃ったクリッパーズは、西カンファレンスの中心的な存在になるでしょう。