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バスケの醍醐味は屈強なセンター同士のぶつかり合い

現代のNBAでは、本来パワーフォワードの選手をセンターに起用する機動力重視のスモールラインナップが主流になりつつある。つい数年前からのトレンドだが、アキーム・オラジュワン、シャキール・オニール、ベン・ウォーレス、ケビン・ガーネット、アロンゾ・モーニングなど、『ゴール下の番人』と呼ばれるような重厚で屈強なセンターが有力チームには欠かせないと言われた時代が懐かしくもある。

そんな中、現代のNBAでは貴重な本格派ビッグマンと評されるセブンティシクサーズのジョエル・エンビードと、ヒートのハッサン・ホワイトサイドが11月21日に直接対決を果たした。

エンビードは2014年のドラフト全体3位でシクサーズから指名されながらも、度重なるケガでNBAデビューまで2年を要した逸材。片やホワイトサイドはドラフト外で2010年にキングスに加入するも、2012年からは2年間NBAでのチャンスをつかめず、2014-15シーズンからヒートでプレーするようになってブレイクを果たした。昨シーズンは得点、リバウンド、ブロックでトリプル・ダブルを達成したNBA史上7人目の選手となり、今オフにはヒートとマックス契約を勝ち取った叩き上げだ。

異なる道を歩んできた両選手だが、それぞれ『ビッグマン時代』の再興を目標に掲げている点で共通する。

ヒート戦で22得点を記録し、101-94での勝利に貢献したエンビードは、試合後『AP通信』に、「今のリーグには若いビッグマンが増えた。ビッグマン時代を取り戻せていると思う」と語った。

エンビードは言う。「ハッサンには、『これからもすごいプレーを続けて』と伝えた。ビッグマンとしては、やっぱり同じポジションの選手には良いプレーをしてもらいたい。彼の過去のプレーから学ばせてもらっているしね。NBAは、いつの時代もビッグマンのリーグなんだ。このトレンドをこれからも持続させたい」

スモールラインナップ全盛のトレンドを打ち破れるか

シクサーズ戦でキャリアハイの32得点をマークしたホワイトサイドは、『ビッグマン時代』終焉を唱える声に反論し、「そんなことを言っている連中は試合を見ていないも同然だ」と主張する。

「ビッグマン時代の再興は、他でもない選手自身、エンビードが言っていることじゃないか。今だって毎試合で優秀なビッグマンと対戦しているよ。ドワイト(ハワード)、アンドレ(ドラモンド)、(デマーカス)カズンズと対戦している。屈強なセンターがいない試合なんて見当たらない」

確かに優秀なセンターは年々増えつつある。しかし、ここ3シーズンの優勝チームであるウォリアーズとキャバリアーズは、スモールラインナップで結果を残してきたチームだ。そして、このチーム編成の傾向は東西のカンファレンスを問わず強豪と呼ばれるチームに共通している。

真の意味でビッグマン時代を取り戻すには、オニールを擁したレイカーズが2000年から3連覇を達成したように、エンビードやホワイトサイドといった若い世代のセンターが中心となってNBAを制するしかないのかもしれない。