アルビレックス新潟

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

1点差で最終クォーターを迎える好ゲーム

横浜ビー・コルセアーズvs新潟アルビレックスBBの第1戦。終盤に迫られるも、その都度得点を入れ返す精神的タフさで横浜を退けた新潟が79-72で勝利した。

横浜は10月27日に契約を結んだ新戦力、プリンス・イベがスタートに名を連ねたが、ファウルコールにアジャストできず、序盤からファウルトラブルに陥る羽目に。その横浜はマンツーマンでスタートし、エドワード・モリスがダバンテ・ガードナーへのダブルチームで起点を作らせないよう試みるが、ガードナーは冷静にパスを散らして自分に優位なタイミングでのみ仕掛けて9得点を挙げ、新潟が先行した。

18-15と新潟リードで迎えた第2クォーター。横浜は慣れ親しんだゾーンディフェンスに切り替えガードナーを2得点に抑えた。だが試合後に横浜の指揮官トーマス・ウィスマンが「前半は間違いが多かった。優秀な3ポイントシューターがいるのにオープンで3ポイントを打たれてしまった」と漏らしたように、柏木真介がこのクォーターだけで5本の3ポイントシュートを沈め、41-32とリードを広げて前半を折り返した。

横浜の反撃は後半から。ガードナーとラモント・ハミルトンを強調しすぎてパスが回らなくなった新潟に対し、横浜は川村卓也がオフェンスマシーンと化す。ピックからこのクォーターだけで4本の3ポイントシュートを沈めて追撃。またトランジションオフェンスも冴え、細谷将司のバスケット・カウントや田渡凌の速攻で何度も1ポゼッション差に詰め寄り、残り2分にはモリスがオフェンスリバウンドからゴール下のシュートをねじ込み、逆転に成功した。

新潟としては、横浜の勢いに飲まれてもおかしくはない展開だったが、この直後に五十嵐圭が一瞬の隙をついて速攻を決める。再逆転した新潟が60-59とわずかにリードして最終クォーターを迎えた。

横浜ビー・コルセアーズ

ツインタワーを生かした新潟に軍配

新潟は一貫して強みであるインサイド陣を強調する。すると開始40秒で、ここまで18得点を許していたアマンゼ・エゲケゼを4ファウルに追い込み、残り6分40秒にはイベをファウルアウトさせた。こうなるとインサイドは止められず、ガードナーとハミルトンで加点し、新潟は7点のリードを奪った。

ホームで負けられない横浜も粘りを見せ、川村の連続得点などで残り2分30秒には3点差まで迫る。だが直後のオフェンスでガードナーがファウルを誘い、横浜のチームファウルが5に到達。2本のフリースローを確実に沈め優位を保つと、残り1分30秒にガードナーがバスケット・カウントをもぎ取り勝負アリ。

第3クォーターに逆転を許し、最終クォーターでも1ポゼッション差まで迫られるも、焦ることなくストロングポイントを強調し、自分たちのバスケを貫いた新潟が勝利を収めた。

新潟の庄司和広ヘッドコーチは「準備してきたことができた」と話し、「ケガ人がいて練習時間もあまりなく、合わせることができなかったですが、その部分では良いパフォーマンスを発揮してくれたと思う」と総括した。

一方で得点者が先発の4名に偏ったこともあり、「セカンドユニットのステップアップを早急にしたい。彼らもやる準備はできているので、場所を提供することが必要」と話し、タイムシェアを含めたチームの底上げが課題となっている。

敗れたトムコーチは「もう少しスマートにプレーしなければいけない試合。向こうよりも3ポイントシュートを打ち(横浜27-26新潟)、オフェンス重視のチームを相手に自分たちがシューティングコンテストになってしまった。自分たちがやりたいバスケができていなかった証拠」と分析した。また「前半のディフェンスの間違い、前後半を通してリバウンドで負けたことの2点」を敗因に挙げた。

新潟は昨日の勝利で7勝4敗とし、同率ながら中地区首位に浮上した。一方の横浜は単独最下位に転落。立場は違えど、一つの勝敗で順位が変動する状況のため、このあとの試合も激戦必至となるはずだ。