今村啓太

昨シーズン、琉球ゴールデンキングスは4度目の挑戦にしてセミファイナルの壁を打ち破り、悲願のファイナル進出を果たした。ただ、ファイナルで宇都宮ブレックスに連敗し、大きな悔しさとともにシーズン終了となった。今シーズンこそ頂点に立つため攻撃の要として大きな期待を集めるのは今村佳太だ。ここまで着実にステップアップを果たし、リーグ屈指の日本人ハンドラーとなった彼の新シーズンに関する意気込みを聞いた。

「周りを巻き込めるようなプレーをしていきたいと意識しています」

──まずは昨シーズンの振り返りをお願いします。レギュラーシーズンは49勝7敗でリーグ史上最高勝率(.844)を記録しました。

レギュラーシーズンの成績だけで言えばチームとしても個人としても良い成績だったと思います。ケガ人であったり新型コロナウィルスの影響など、いろいろなアクシデントがあった中で戦い抜いたシーズンでした。ただ、20連勝に関しては負けて当たり前の試合を勝っていたりして、うまくいきすぎたとはすごく感じています。その中で優勝すべきタイミングだったので、ファイナルで負けてすごく悔しいシーズンでした。ただ、去年は我慢を覚えられたシーズンで、それは今シーズンにも絶対に繋がってきます。

──オフシーズンは、どのように過ごしていましたか。

これまでは基本シーズンが終わったら1週間もたたないくらいですぐ身体を動かしていました。今回は約1カ月間バスケから離れました。もちろんファイナルの悔しさはすごくあったのですぐにでも動きたい気持ちはありましたが、今までやってこなかった休むことにチャレンジして、その感覚をつかみたかった部分がありました。トレーニングを始めてからは新しく加入したスキルコーチの山下恵次さんが大学の先輩ということもあってすごく親密にトレーニングをしてくれる中で、周りを生かすプレーの質を高めることを意識していました。

──今オフ、琉球は並里成選手、ドウェイン・エバンス選手が移籍し、ハンドラーをこなせる選手が減りました。そこは、自身がよりやらないといけないと思いますか。

ロスターを見る限りガードの選手が不足しているのは誰が見てもそうだと思いますし、ボール運びやハンドラーの役割をウィングの選手も担っていく必要があるとは桶さん(桶谷大ヘッドコーチ)と話しています。得点を取ることが自分の仕事だと思っていますが、それだけではダメだとすごく感じていますし、特に今年のメンバー構成を考えればそこだけをやっていればいいということではないです。直接アシストにならなくても僕が起点になってプレーが動いていけばいいなと考えていて、本当に周りを巻き込めるようなプレーをしていきたいと意識しています。

──昨シーズンの好成績によって、今年こそ優勝と周囲の期待はさらにハードルが上がると思いますがどう向き合っていきますか。

思い通りにいかないことは絶対に出てきますが、その中で周囲の期待は去年以上に高まっていると思います。ただ、そこはプロフェッショナルとして責任を持って向き合わないといけない。トライ&エラーを繰り返す中で失敗も多くなるシーズンになると感じていますが、それすらもチームの糧にできるように楽しんでいくという姿勢で戦い続ける。それによって自分たちが求める結果に繋がると思います。

今村啓太

「ダンカン選手は、僕が他チームの外国籍選手で1番プレーしたかった選手でした」

──琉球は地元出身の生え抜きである岸本隆一選手がいて、田代直希選手がキャプテンを務めていく。そこに今村選手もチームの要として引っ張っていく意識はありますか。

2人からはいろいろと見習っている部分はありますが、自分も引っ張っていかないといけない責任は感じています。僕はうまい言葉を言える人間ではないので、プレーで見せていくしかないです。中心選手としてファイナルを経験して得たものはあるので、それをチームに還元していきたいです。

──今シーズン、スタッツで目標とする数字があったら教えてください。

キングスに来て日本人選手としては点が取れるっていうのはある程度証明できましたが、より絶対的な存在になっていきたいと思っています。そのためには、もう少しアシストを増やし、フィールドゴールの成功率を上げていくことが課題です。そこの2つはすごく自分も意識していますし、皆さんに見てもらいたいところです。

フィールドゴールの成功率を50%に近づけたいです。ここまでキャリア平均が30%台なのでそこを40%台から50%台に引き上げたい。そのためにはプレーの判断がすごく重要になってくると思いますし、良い判断を積み重ねていけばアシストは増えてくので、今シーズンはこの2つをすごく重視しています。

──成功率を上げるためにもペイントアタックを増やしたいところですか。

そこを含めての状況判断だと思っています。例えば各チームでそれぞれディフェンスも異っているので、相手にあわせて臨機応変に対応しないといけない。そのためにもスキルトレーニングをやっていて、どんな状況でも良い判断ができるようにしていきたいです。

──新戦力の松脇圭志選手、ジョシュ・ダンカン選手にはどんな印象を持っていましたか。

個人的に一緒にプレーしたいなと思っていた2人が来てくれて素直にうれしいです。松脇選手に関しては一昨年のチャンピオンシップで富山グラウジーズさんと対戦した時、淡々と自分のプレーを遂行していた印象がありました。富山さんはすごく攻撃的なチームでしたけど、その中でもすごく守備が光っていて良い選手だなと思っていました。

ダンカン選手は僕が、他チームの外国籍選手で1番プレーしたかった選手でした。ポストアップも上手でショートロール、ポップ、ダイブとさまざまな動きができるので、駆け引きがすごく楽しくなる選手だなと思っていました。だからこそ千葉ジェッツさんと対戦した時には、やっぱり一緒にやってみたいとすごく感じていました。昨シーズン、戦術的な面で言うとピック&ポップを得意とする選手がいなかったのですが、ダンカン選手はそこをこなしてくれるので彼の加入で自分自身、チームの両方でプレーの幅が広がると思っています。