4年前の前回大会の悔しさを知る一人
昨夏の東京オリンピックで銀メダル獲得の快挙を成し遂げたバスケットボール女子日本代表は、今月下旬からオーストラリアで行われる『女子ワールドカップ2022』に出場する。
オリンピックで銀メダルを獲得し、世界でも追う立場から追われる立場へと変わった日本代表だが、ワールドカップにおいては前回行われた2018年のスペイン大会でも金メダル獲得を目指していたものの、ベスト8進出ならず悔しい思いをした。
赤穂ひまわりは今大会に向け「10日間で(最大)8試合という結構キツいスケジュールですけど、今までやってきたことをしっかり出して結果に繋げて、金メダルを取りたいです」と語った。
赤穂にとって今回のワールドカップは自身2度目の挑戦となる。20歳の時に出場した2018年の前回大会では、4試合に出場して平均プレータイム7.2分で1.5得点、2.0リバウンドに終わり、「4年前のワールドカップはオリンピックの時よりも本当に(先輩たちに)付いていくだけ、引っ付いて行っただけの感じで、何も自分のプレーを出せずに見ているだけって感じでした」と振り返る。
「見ているだけだった」と言う前回大会だが、その後もトム・ホーバスの下、日本代表で経験を積み、184cmのサイズながら2番ポジションをこなせる機動力やどのポジションも守れるディフェンス力など、日本代表屈指のオールラウンドプレーヤーとして代表チームでも存在感を発揮した。
そして、東京オリンピックでは全試合に先発出場し、平均プレータイムは大黒柱の髙田真希に次ぐ、チーム2番目に長い平均26.6分で9.3得点、7.3リバウンドを記録。その後のアジアカップでもチーム最長の平均29.5分の出場で10.6得点、5.0リバウンドを挙げて大会5連覇の立役者となり、大会MVPにも輝くなど、今では日本代表の主力になるまで成長を遂げた。
「この前のワールドカップから成長してきたことを今大会でしっかり出したい」
前任のトム・ホーバスは選手それぞれに徹底した役割を与えて実行させることで強いチームを作り上げた。バトンを受け継いだ恩塚亨ヘッドコーチも激しいディフェンスと全員が3ポイントシュートを打つスタイルはホーバス時代から継続しているが、そこに『選手自身がその場で判断してプレーを選択する』というやり方を取り入れている。
ヘッドコーチが代われば選手が求められるものが変わるのは当然のため、恩塚体制の始動当初は選手自身も慣れない部分があった。それでも合宿や試合を重ねることで「恩塚さんのバスケットを始めた時よりは、絶対に今の方が良くなっていると思います」と手応えを語る。
その上で「それでもまだ完璧じゃない部分はあります。そこはやりながらどんどん良くなっていく部分だと思うので、大会中に良くして完成させられるように頑張ります」と、大会を通してチームとしても成長していきたいと意気込んだ。
赤穂個人としても「世界中の強い人たちと戦えるので、この前のワールドカップから成長してきたことを今回のワールドカップでしっかり出して、やるだけじゃなくて成長できるように頑張りたいと思います」と語った。
主力として挑む今大会で赤穂がどんなプレーを見せるのか。そして、今後の日本代表を引っ張っていく選手として、このワールドカップで世界の強豪国と対戦して何を得ることができるのか。彼女の成長と活躍に期待したい。