ルカ・ドンチッチ

前回王者が強さを発揮、粘るリトアニアを終盤にねじ伏せる

ユーロバスケットが開幕しました。ルカ・ドンチッチとゴラン・ドラギッチを擁するスロベニア代表、ドマンタス・サボニスとヨナス・バランチュナスのリトアニア代表と、ともに同じポジションにスター選手を抱える両チームの対戦は、序盤から相手エースに対してハードなディフェンスを見せるも、逆に周囲の選手が高確率で3ポイントシュートを決める白熱の展開になりました。

前半は15本中8本の成功だったスロベニアは、ドンチッチのキックアウトからの3ポイントシュートもあれば、ドラギッチのタフなプルアップもあり、チームの特徴を強く打ち出しました。アウトサイドが決まり続けたことでインサイドにもスペースが生まれ、ドンチッチのパスからマイク・トビーのアリウープなどゴール下の得点も次第に増えて、オフェンス力の高さを見せつけます。

一方でリトアニアは上手く手を出してくるスロベニアのディフェンスにも悩まされたサボニスにミスが多く、ポイントセンターが中心で構築する難しさを感じさせる展開でしたが、インサイドに引き付けてのキックアウトから9本中6本の3ポイントシュートを成功させて食い下がりました。アテンプトは少ないものの、インサイドアウトによって成功率の高さが光った形です。

前半終了間際にドンチッチへのハードなディフェンスがついに実を結び、リトアニアが、決めれば逆転の速攻に走りますが、これをブラッコ・チャンチャーが見事なチェイスダウンブロックで阻み、逆にカウンターに走ってバランチューナスとコンタクトしながらレイアップをねじ込むバスケット・カウントを決め、前半はスロベニアが2点リードで終わります。

後半が始まるとリトアニアが逆転しますが、逆転されたシュートの直後にドンチッチから見事なカウンター速攻で追い付き、前半とは打って変わってインサイドを攻めていくスロベニアが7点差までリードを広げます。ドラギッチのアリウープパスやドンチッチのスピンムーブなど、次々にペイントを攻略したスロベニアに対して、どうしてもサボニスのポストアップが機能せずオフェンスが苦しいリトアニアは、焦りもあってかリバウンドもキープできなくなりました。

これで3ポイントシュートも決めれば一気に試合を決められたスロベニアですが、ポジションバランスを変更したことでセンターのトビーが外から打つことが増え、これがなかなか決まりません。突き放せないままドンチッチとトビーがベンチに下がると失速してしまい、ミンダウガス・クズミンスカスの個人技で盛り返されて、再び接戦になって最終クォーターを迎えます。

クズミンスカスの3ポイントシュートで逆転したリトアニアは、苦しみ続けていたサボニスのポストアップが決まり始め、残り6分で5点のリードを奪います。この試合は点差こそ離れませんでしたがスロベニアが常に先手を取っていたため、リトアニアにとっては初めてリードらしいリードとなりました。

それでも、ここからドンチッチがサボニスを引き出して1on1の形を作っていきます。サボニスの弱点を狙うドンチッチは、リトアニアがカバーの体勢を取った瞬間にインサイドのチャンチャーやトビーに判断良くパスを通して追い上げます。

残り3分、ドンチッチがドライブからトビーのゴール下をアシストすると、ドラギッチが3ポイントシュートで続きます。リードを得た終盤となれば、ドンチッチとドラギッチの2人が時間を使ったオフェンスを展開し、試合をコントロールし始めます。こうしてスロベニアが92-85で開幕戦を勝利で飾りました。

スロースタートが予想された大会で思わぬ白熱した開幕戦となりましたが、優勝した5年前と変わらずドンチッチとドラギッチのコンビが機能するスロベニアに対し、サボニスとバランチュナスを抱えるリトアニアが正しいバランスを見いだせないでいることが差になりました。リトアニアは昨年のオリンピック予選でも同じようにスロベニアに負けており、再び大きな課題を突き付けられた形です。