デニス・シュルーダー

シュルーダーがドンチッチを上回るインパクトを残す

8月28日にミュンヘンで行われたドイツvsスロベニアは、開始4分で3-11と最悪のスタートを切ったドイツが攻守にフィジカルなプレーで踏ん張り、第2クォーターに逆転。後半は常にリードを保ち、90-71の完勝を収めた。

昨年のオリンピック世界最終予選以来、スロベニアを強力に引っ張ってきたルカ・ドンチッチは23得点6リバウンド5アシストを記録するも、この試合ではドイツのエース、デニス・シュルーダーのインパクトが上回った。

シュルーダーは17得点10アシストを記録。大量得点を奪ったわけではないが、前半は無得点だったにもかかわらず、試合が進むごとに調子を上げた。第4クォーターにはそれまでとプレースタイルを変え、ほとんどのポゼッションを自分が仕切り、効果的に得点を生み出した。特に終盤の3ポイントシュート連発は、スロベニアの気力を断つビッグプレーだった。

一方でスロベニアは、ドンチッチという絶対的なエースを擁しながらもボールをすべて彼に集めるようなことはせず、バランスアタックを徹底。その結果、勝負どころでもドンチッチで攻める機会が増えず、ドイツに点差を広げられてしまった。

ドンチッチは試合途中に足首を痛めてコートに倒れて周囲を心配させたが、その後はプレーを続けている。これが影響したのかもしれないが、試合終盤に本来の強さを発揮できなかった。この夏のワールドカップ予選ではドンチッチを擁して3連勝を挙げていたが、最後に敗戦を喫したことになる。

スロベニアはオリンピックから絶好調を維持していたが、ユーロバスケット前に思わぬ失速を見せた。ヘッドコーチのアレクサンダー・セクリッチは「ドイツの選手はフィジカルにプレーし、時にはファウルぎりぎりの接触もあったが、ウチはそれに対応できなかった。ドイツではなくジャッジに意識を向けてしまったことが敗因だ」と試合を振り返る。

「相手がどこであろうが、どんな試合であろうがベストを発揮しなければならない。今日はそれができなかった」

この失敗がユーロバスケットの前だったのは不幸中の幸いかもしれない。ただ、チームバスケットが機能しない時でもスタイルを変えずに戦うのか、ドンチッチで勝負するのか、その判断はこれから見極めていく必要がありそうだ。