「戦争という大変な時期にウクライナのためにプレーできてうれしい」
スビ・ミハイリュクはウクライナ代表の一員としてワールドカップ予選とユーロバスケットに臨む。NBAで5年のキャリアを持つ彼は、ウクライナのトッププレーヤーであり、NBAのシーズンが終了してすぐ代表に加わると、7月上旬のワールドカップ予選3試合に出場。3試合ともチームハイの得点を叩き出し、ジョージアと北マケドニアに勝ち、スペインには敗れたものの1点差と大健闘したチームを引っ張った。
8月24日にはイタリア、27日にはアイスランドとのワールドカップ予選が控えている。11月と来年2月の予選への出場は厳しいだけに、ミハイリュクにとってはどちらも勝ちたい試合だ。その後にはユーロバスケットが控えている。
「一生懸命に戦い、すべての試合に勝ちたい」とミハイリュクは言う。「今のウクライナは歴代最強チームの一つだと思う。ユーロバスケットでは何だって起こり得るし、多くの人々を驚かせ、良い結果を残したい」
ミハイリュクの活躍は代表チームにとって驚きではない。出番こそ少なかったが2014年のワールドカップには17歳で参加しており、2019年のワールドカップに向けた予選ではすでにチーム得点王だった。NBAでプレーする以上はすべての国際大会に参加できるわけではないが、それでも7月の予選3試合も、どのチームメートもミハイリュクにボールを預け、彼は期待に応えた。
「得点は僕の役割の一つにすぎない。ディフェンスでもオフェンスでも正しいプレーを選択して、得点だけじゃなくチームメートのためにチャンスを作ったり、自分にできる限りのことをするつもりだ。ウクライナの勝利のために、ベストを尽くすよ」
ウクライナは戦時下にあり、ホームゲームが開催できないため、先のジョージア戦、スペイン戦に続いてイタリア戦もラトビアのリガで試合を行う。
ロシアのウクライナ侵攻が始まった今年2月には、キングスのアレックス・レンと共同で「この恐ろしい戦争ができる限り早く終結することを願う」との声明を発表した。その願いはかなわず、いまだ戦争は続いているが、この状況で試合ができることをミハイリュクは歓迎している。「多くの人が戦争のことを忘れつつあって、もっと認知してもらうことが必要だから。たくさんの人と一緒になることで、より良いプレー、よりハードな戦いができると思う」
ラプターズとの契約はプレーヤーオプションを行使したことで来年まで残っている。昨シーズンは前半戦は新型コロナウイルス感染での欠場があり、後半は戦争でバスケに集中できない状況が続いた。そこから巻き返しのシーズンとなるが、それを考えるのはしばらく先のこと。
「戦争という大変な時期にウクライナのためにプレーできてうれしい。国のために戦う代表チームの一員であることは誇りだ」と語るミハイリュクは、まずはウクライナ代表のためにベストを尽くす。