第3クォーターまでは完全な滋賀ペース
横浜ビー・コルセアーズと滋賀レイクスターズの第2戦。昨日の第1戦で今シーズン初勝利を挙げ、開幕からの連敗を5で止めた横浜が、最大24点差を覆す劇的な試合を見せた。
横浜は滋賀の強力インサイド陣に対し、ゾーンディフェンスで対抗する。だがディオール・フィッシャーにミドルシュート、ガニ・ラワルにバスケット・カウントを許して先行された。オフェンスでもリズムに乗れずシュート精度を欠くも、インサイド陣を中心にリングにアタックし、このクォーターだけで10本のフリースローを獲得して粘る。それでも滋賀のハーフコートバスケットに苦しみ、24-37とビハインドを背負い前半を終えた。
後半、横浜は帰化選手のエドワード・モリスを使ったビッグラインナップから、バックコートを細谷将司、川村卓也、田渡凌の3人体制に変更し、川村が縦への変化を増やし、アマンゼ・エゲケゼの速攻が出始めるなどオフェンスが一気に活性化。だがその代償としてディフェンスが崩壊する。インサイドをこれまで以上に警戒したのだが、滋賀に余裕をもってボールを回され、フリーから連続で3ポイントシュートを沈められてしまった。第3クォーター4分が経過し、ラワルのバスケット・カウントで32-56とこの日最大となる24点のビハインドを背負った。
横浜の負けパターンは大差がつき集中力が切れてしまうこと。だが今日の横浜はこれまでと違い、最後まで勝負をあきらめなかった。前半は滋賀のタイトなディフェンスの前に自由にプレーさせてもらえなかったが、ピック&ロールからの展開で得点を挙げていく。川村が第3クォーターだけで13得点を挙げ、逆転に望みをつなげたことが最終クォーターに生きてくる。
スコアラーに戻った川村が大逆転劇を演出
47-63と16点のビハインドを背負って迎えた最終クォーター、横浜は気持ちの入ったフィジカルなディフェンスで滋賀オフェンスを停滞させる。ディフェンスでの我慢がディフェンスに繋がりリズムが生まれ、川村を中心とする追い上げが加速する。
ここで滋賀を苦しめたのはファウルトラブルだった。横浜の縦への速い攻めにファウルがかさんだ滋賀は、第4クォーター開始2分で二ノ宮康平と鹿野洵生が4ファウルとなり、その約2分後、二ノ宮はファウルアウト。川村の3ポイントシュートで7点差に迫られてオフィシャルタイムアウトを迎えた。試合後、ヘッドコーチのショーン・デニスが「気持ちの部分で負けてしまった」と悔やむように、ここから終盤の大事な時間帯で滋賀はミスを連発してしまう。
横浜はゾーンディフェンスとマンツーマンを交えたチェンジングディフェンスで滋賀オフェンスを惑わし、24秒バイオレーションを誘発。滋賀はインサイドでの攻めに固執するあまり連続で3秒バイオレーションを取られるミスもあり、最終クォーターだけで10個ものターンオーバーを犯した。
スコアラーに徹した川村がそのオフェンス力を遺憾なく発揮し、横浜はこのクォーターだけで相手のターンオーバーから12得点を記録し猛追した。そして残り49秒、ジャボン・マックレアがオフェンスリバウンドを押し込んで同点に追い付き、さらに残り19秒には川村がこのクォーター10得点目のシュートを沈め、72-70とこの日初めてのリードを奪った。
その後は逆転を狙った狩野祐介の3ポイントシュートが外れ、リバウンド争いからヘルドボールとなり、ポゼッションを得た横浜が劇的な逆転勝利をつかんだ。
トムコーチ「これが楽しいからコーチをやっている」
勝利した横浜のトーマス・ウィスマンヘッドコーチは「今日は楽しかった。先週まで0勝5敗で、『なぜ私はコーチをしているのか』と悩んでいたが、今週の2勝でこれが楽しいからやっているんだと再確認できた」と劇的な勝利にご満悦。「最終クォーターのターンオーバーが1-10ということで、ディフェンスの強度が上がったのが分かると思う。そして川村選手が試合を支配した」と試合を振り返った。
一方、滋賀のデニスコーチは「信じがたい内容になってしまった、とても残念です」と肩を落とした。「最初の3クォーターは良いプレーができていましたが、第4クォーターに精神的にソフトになり、守りに入るような戦い方になってしまった。相手が勢いづき、ホームのファンに後押しされた横浜を止められなかったです」と総括した。
横浜は5連敗からの2連勝で中地区最下位から脱出し、次節はホームに新潟アルビレックスBBを迎える。トムコーチが「こういう試合はホームでしかあり得ない」と語ったように、ホームの声援を力に変え、この勢いを維持したいところだ。
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