安間志織

「ディフェンスからどんどんプッシュしていくバスケットは自分を出せる」

6月18日、女子日本代表はトルコ代表との強化試合初戦を行い77-49で圧勝した。この試合、日本代表は第1クォーターで27-12と大差をつけると、そのまま危なげなく押し切った。そして先制パンチを牽引した1人が、先発ポイントガードを務めた安間志織だ。

持ち味である視野の広さに裏付けされた的確なパスさばきで、守備のズレを作り出し、味方のシュートチャンスを次々と生み出した安間は約14分の出場で6得点2リバウンド2スティールを記録。ただ、開始直後から日本に試合の流れをもたらした立役者としてスタッツ以上のインパクトを与えていた。

「(遠征していた)オーストラリアとの試合から少しずつ修正するところはみんなで声をかけ合いながらできました。今回、私たちのディフェンスに加え、オフェンスもキックアウトしてからアタックというカウンターバスケットがしっかりできたと思います」

このように試合を総括した安間は、恩塚享ヘッドコーチによる新しい日本代表のスタイルについて、自身のフィット具合を次のように分析する。「練習を重ねて今、恩塚さんのやりたいことを理解して、スペーシングの取り方はちょっとずつ慣れてきています。ディフェンスからどんどんプッシュしていくバスケットは自分を出せるので、すごい楽しみながらできています」

安間志織

激しいメンバー争いを勝ち抜くための武器、ピック&ロールからの崩しに自信

振り返れば東京五輪前の2020-21シーズンにおいて、安間はプレーオフMVPの活躍でトヨタ自動車アンテロープスを悲願のWリーグ優勝に導く大活躍を経て代表合宿に招集された。しかし、あと一歩のところでメンバー争いに生き残ることができず五輪のコートに立つことはできなかった。

それだけに、9月下旬から行われるワールドカップの代表入りには期するものがある。「オリンピックは最終選考で残ることができなったので、ワールドカップには今度こそ出場したい思いが自分の中にはずっとあります。あまり考えすぎないようにしていますが、楽しみながら自分のバスケットを表現できたら結果はついてくる。恩塚さんのバスケットを理解してチームメートを生かしながら自分のバスケットを見せていきたいです」

2021-22シーズン、安間はさらなる進化を求めて新しい環境へのチャレンジを決意。ドイツのブンデスリーガ(DBBL)フライブルクへ移籍すると、ファイナルMVPを受賞しチームをリーグ優勝へと再び導いた。さらに新シーズンは、イタリアの強豪ベネツィアへの加入が決まっており、欧州で確固たる評価を築いている。

他の選手と異なる舞台でプレーすることで、彼女は唯一無二の経験を積み重ねており、それが個性へと繋がる。代表のポイントガード争いは今回の登録メンバーを見ると安間以外に東京五輪代表の宮崎早織、本橋菜子に加え、期待の新星である江村優有がいる。さらに現在WNBAでプレーしている町田瑠唯、21日から開催される3×3ワールドカップの代表活動に参加中の山本麻衣もいる過酷なサバイバルレースとなっている。

この中で、安間は自分の武器をピック&ロールからの展開にあると語る。「ピック&ロールから自分でアタックし、周りのディフェンスが寄ってきたらパスをさばくことを得意としているのでそこは自信を持ってやりたいです。また、ピック&ロールからのジャンプシュートも強みだと思っています。宮崎選手も本橋選手も点数が取れますが、私も得点を挙げつつのアシストには手応えはあります。」

今日の第2戦もピック&ロールからの変幻自在なプレーで安間が会場を沸かせてくれる姿を期待したい。それができれば彼女の代表での立場はより強固となり、本大会でのメンバー入りがより近づくはずだ。