大量ビハインドにもブレず、自分たちのバスケを貫いた結果の大きな勝利
琉球ゴールデンキングスはチャンピオンシップのセミファイナル初戦で島根スサノオマジックと激突。第1クォーター途中には最大21点のリードを許す劣勢に立たされるが、ここで我慢してディフェンスを立て直すと、後半に入り要所で次々と3ポイントシュートを決め94-85で大逆転勝利を収めた。これで琉球は4度目のセミファイナルで初めて初戦を制し、ファイナル進出に王手をかけている。
試合の出だしから琉球は、桶谷大ヘッドコーチが「ヘルプに行った選手がマークしていた選手のところで、結構やられてしまいました。それでチームの中で冷静な選手、パニックになっている選手が出て、その中で歯止めがきかずに良いオフェンスもできなくなりました」と振り返るように大きくつまずいた。その結果、攻守ともに崩れ第1クォーター終盤には13-34と大きく先行されてしまう。
だが、ここから琉球はリーグ歴代1位の勝率を挙げた底力を見せる。「レギュラーシーズンで良い時は何をしていたのか、チームで共有できています。第2クォーター以降は、みんな我慢しながら一つずつポゼッションを返していけました」と指揮官が語るように、自分たちのやるべきことを積み重ねていくことで試合の流れ引き寄せた。
その結果、前半を終え11点差にまで縮めると、第3クォーターにはディフェンスリバウンドを取りきって走る展開に持ち込みアレン・ダーラムを軸にゴール下への力強いアタック、インサイドアウトからの3ポイントシュートと、内と外のバランスが取れた本来のオフェンスを取り戻す。第3クォーターを同点で終えると、8020人が入った沖縄アリーナの応援を背に第4クォーターは32点と爆発し、鬼門となっていた第1戦を制した。
去年のセミファイナル、シュートが入らずに歯痒い思い。この経験は2度としたくない
この試合、琉球は3ポイントシュートを25本中12本成功と高確率で沈めたことが、大量得点を導く要因となった。中でも今村佳太は、要所で決める勝負強さを発揮し3ポイントシュート10本中5本成功を含むゲームハイの21得点と見事な活躍だった。
「ただの1勝とは言い切れない非常に大きな勝ち方でした。第1クォーターは完全に相手に主導権を取られてしまって、切羽詰まった状態になりました。その中で全員がハードワークをしたことで盛り返して、こういう勝ち方ができたのは大きい。この流れは簡単に手放したくないと思います」
こう総括する今村だが、最大21点のリードを許した時は「心が折れても仕方ない場面だったと思います」と率直な思いも明かす。しかし、レギュラーシーズンで何度も劣勢を跳ね返し勝利をつかんできた経験があるチームは、苦しい時に何が必要なのか分かっていた。「自分たちの形をやり続ければ流れが来るのは、レギュラーシーズンで身に染みて分かっていました。ボールムーブと堅いディフェンス、自分たちのバスケットボールを続ける積み重ねが大事だと思いました」
そして、あらためてホームで戦えることの大きさを強調する。「間違いなくホームでなければ負けていました。ファンの皆さんは、自分たちが乗りたい時に反応をしてくれる。皆さんの期待や熱は、確実に自分たちを動かしてくれています」
今村個人で言うと昨シーズンのセミファイナルは、3試合ともにシュートタッチが良くなく本来のプレーを見せることができなかった。その悔しさは、今シーズンに入ってもずっと消えることはない。「去年、セミファイナルでなかなかシュートが入らずに歯痒い思いをしました。この経験を2度としたくないと常に思っています。そういう意味でも本当に気持ちを前面に出して、会場の皆さんをあおって自分を鼓舞する形で臨みました」
今週末にかける強い決意を今村は語り、「チームが厳しい時にこそ活躍したい選手になりたいのが自分の理念です。レギュラーシーズンからこの思いを持ってプレーを続けてきて、責任感もついてきました」と、チームを背負う覚悟を持って戦っている。
初戦は、琉球にとってチーム史に残る逆転劇の一つとなった。ただ、もうドラマはいらない。第2戦は最初から琉球のやるべきバスケットボールを遂行して、自分たちのペースで押し切りたい。それができれば、悲願のファイナル進出決定を成し遂げられる。そのためには今日も今村らしい攻守に渡ってのアグレッシブなプレーが必要だ。
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