昨年のWリーグでクラブに初の優勝をもたらし、自身もプレーオフMVPを受賞したトヨタ自動車アンテロープスの安間志織は、リーグ終了後にブンデスリーガ(DBBL)、フライブルクへ移籍した。初の海外挑戦にもかかわらず、安間は主力選手としてチームを牽引。チームは2位でプレーオフに進むと、ファイナルまで勝ち進み、3勝1敗でリーグ制覇を成し遂げた。安間はWリーグに続き、ブンデスリーガでもファイナルMVPを受賞した。最高な結果を残して帰国した安間に海外挑戦を振り返るとともに、今後についても語ってもらった。
「その場その場のプレーに対応できる日本人選手は絶対に通用する」
──最高の結果で海外挑戦を終えましたが、あらためてドイツでのシーズンを振り返ってください。
8月の途中、急にドイツに行くことが決まりました。ドイツの選手は10代が多く、一番上の選手でも21歳と若いので、練習に参加した時点から、他の選手よりも経験がある私が引っ張らないとダメだと思いました。
言葉の壁はすごくありましたが、みんなに英語を教えてもらっていて、バスケット以外のところでコミュニケーションが取れていたので、シーズンが進むにつれてまとまっていきました。日本から応援してくれている方から「チームが良くなっていくのが目に見える」と言われたのはうれしかったですね。シーズンの最初は誰も優勝するとは思っていなかったですが、後半からは優勝という目標にみんながしっかり向かってやっていたので、優勝できて本当に良かったです。
──世界的に見て、ブンデスリーガは決してレベルが高くないとは言えど、高さやフィジカルなどで苦労はしなかったですか?
高さや身体の幅、強さはありますが、スピードもスキルもIQも日本のほうが上です。特にスピードは生かせますし、その場その場のプレーに対応できる日本人選手は絶対に通用すると思います。
175cmくらいの1、2番とマッチアップすることが多く、ポストアップされた時のディフェンスはもちろんハードにやらないといけないですが、上でボールを持たれた時にプレッシャーをかけると相手は絶対に嫌がるので、大きい人に対しても工夫しながらやっていけました。
──あらためて、ドイツに行って得たことや良かったと思うことは何でしょう?
技術や環境だったり、レベルも日本のほうが高いので、日本に残った方がいいのではという声もいくつかありました。でも私はレベルが少し低くてもいいから、日本人がいないところに行って何かインパクトを残したいという思いがありましたし、環境や英語に慣れるという目的がありました。自分が決めたことなので、なんとか結果を残したいと思っていましたが、まさか優勝してMVPを取るとは思っていなかったです。
ヨーロッパはいろいろな国が近く、多くのコーチ陣にプレーを見てもらえます。レベルが低いにしても、日本よりもヨーロッパの方が見てくれる人が多いのでそこは良かったなと思います。日本人は小さいというイメージしかなかったらしく、私が来なかったら日本人のレベルも分からなかったそうです。日本人のレベルを伝えたいという目的もあったので、そういう意味でもインパクトを残せました。
「小さくてもやれるということを示したい」
──町田瑠唯選手がWNBAに挑戦中ですが、代表合宿後は日本と海外のどちらでプレーしようと考えていますか?
もっと上のレベルでやることが私の目標なので、これから徐々に決まってくると思います。少しレベルが低いリーグならあると思いますが、日本のリーグが終わってから海外に行く場合はWNBAしかありません。日本という選択肢もない事はないですし、海外のチャンスがあればそこに挑戦したいという感じです。
町田さんが活躍しているのを見て、小さくてもやれるということを示したいと、さらに思いました。私は常に挑戦したいというタイプですが、日本人選手の何人かは海外挑戦したいと思っているはずです。もちろん、WNBAは世界トップのレベルですが、やりたいと思えばどこでも挑戦できるんじゃないかと思っています。
──ファンへのメッセージをお願いします。
急にドイツに行くことが決まってからも、継続して応援をし続けてくれて本当にありがとうございました。ドイツと日本の時差がありながらも試合を見てくれた方が結構いて、日本から応援しているというメッセージをたくさんいただきました。見れくれている人がいると励みになりました。優勝もできたしMVPも獲れて、個人的に2年連続で達成したことがすごくうれしかったです。引き続き、応援お願いします!