テネリフェ(スペイン)で行われたワールドカップでの髙田真希の大活躍は、いまだ記憶に新しい。さかのぼればWリーグの昨シーズンも、思い切った世代交代をしたデンソーをリーダーとして引っ張り、ファイナルへと導いた。すでに日本女子バスケ界のトッププレーヤーと認められた髙田だが、この1年でさらにもう一つ上のレベルに進んだ感がある。今の髙田が望むのは、2020年を見据えたさらなるレベルアップと、デンソーでのキャリア11年目にしてのWリーグ初優勝だ。髙田のキャリアは、そのままJX-ENEOSサンフラワーズの10連覇と重なる。それをひっくり返す時期が来たと、自分自身とチームの充実ぶりから髙田は確信している。
今夏の代表活動で得た成果「自分のプレーを増やせた」
──ワールドカップがつい先日終わったばかりですが、もう開幕です。ほとんど休みがない状況ですが、新シーズンに向けた準備はできていますか?
そうですね、意外と休めました。オフの期間が短いので、代表活動中はうまく切り替えられるのか心配したんですけど、そこはワールドカップを戦ってみて「もっと成長したい」、「もっと上手くなりたい」という気持ちが出てきました。そうなると練習しかないですし、リーグで戦って成長していくしかないので。そのおかげでチームの練習にもスッと入ることができました。
──ワールドカップでは日本代表の大黒柱として獅子奮迅の活躍でした。今までよりもさらに大きくレベルアップしたように感じますが、その自覚はありますか?
あります。今年の日本代表はスペースを取りながら全員が3ポイントシュートを打てるような、攻撃的な速いバスケットを目指していました。自分はあまり3ポイントシュートを打つ選手ではなかったので最初は試行錯誤しましたが、3ポイントシュートは練習した分だけ確率も上がったし、3ポイントシュートと思わせてのドライブなど、そこからのプレーも出てきました。今までになかった自分のプレーを増やせたのは良かったし、何よりやっていて楽しかったです。やれることが増えると、やらなきゃいけなくなるので大変ですが、私にとってそれはうれしいことなので。そういう意味でも、今年は本当に一つ大きく成長できたと思います。
──若手の多いデンソーをこの2年間はキャプテンとして引っ張り、今では日本代表でもキャプテンを任されています。リーダーシップを取る意識は、以前と比べて変化しましたか?
変わった……のかなあ(笑)。プライベートの性格は変わっていないですけど、バスケットの性格は変わったと思います。今まではそんなにしゃべらずに、淡々と自分のプレーをするだけでしたが、やっぱりキャプテンになると周りへの目配りをしないといけない。声を掛ける時もあれば、厳しく言わなきゃいけない時もあります。最初は抵抗がありましたが、自分でも言い方を考えたりして、それも一つ自分の成長になったし、変化だと思います。
特に目指すリーダー像があるわけではありませんが、「この人についていきたい」と思ってもらえるリーダーがチームとしては良いと思っています。そうなれるよう頑張っていきたいです。
「応援してくれる人たちの期待に応えたい」
──デンソーアイリスの今シーズンに懸ける意気込みを教えてください。
昨シーズンにファイナルで負けて、その悔しい思いをしたメンバーがほとんど残っているので、そこが一番の強みになると思います。悔しい思いをし続けたままではスポーツ選手としては絶対に嫌なので、日本一を目指します。
──髙田選手はこれまでデンソー一筋でキャリア10年。この間、JX-ENEOSが10連覇していることになります。日本一を目指すからには避けて通れない相手を、どうやって倒しますか?
最終的には気持ちの勝負になってきますが、JX-ENEOSは勝負どころで本当に強いチームです。その勝負どころでいかに負けない気持ちを持てるかが大事で、気持ちがどんどん前に出て行くプレーが必要だと思います。
──この数年間、デンソーは強豪ではあっても打倒JX-ENEOSの一番手という立場は富士通やトヨタ自動車に譲っていました。でも今回はその一番手としてシーズンを迎えます。
やっぱり優勝したいです。そのためには10連覇しているJX-ENEOSを倒さなくてはいけないのですが、その気持ちは全員が持っていますし、そのための練習をしています。JX-ENEOSは練習からすごくシビアだし、経験を積んでいる選手もたくさんいて、10連覇している以上は負けられないという気持ちもあると思います。でも、デンソーも応援してくれている人は優勝するところを見たいんだと思いますし、その期待に応えたいという気持ちはすごくあります。もちろん、JX-ENEOSを倒すのは自分たちだ、と思っています。
──シーズン開幕を楽しみに待つファンの皆さんにメッセージをお願いします。
昨シーズンは準優勝に終わってしまい、悔しい思いをしました。悔しい思いをした選手はたくさんいたと思いますし、ファンの皆さんも同じ気持ちだったと思います。だから今シーズンはそれぞれがレベルアップしてきました。日本代表として経験を積んだ選手もいるので、チーム一丸となって優勝を目指します。