指揮官は自分たちがコントロールできる部分にフォーカス「シュートは水物」
宇都宮ブレックスとのチャンピオンシップクォーターファイナル第1戦に臨んだ千葉ジェッツだったが、ギャビン・エドワーズがファウルトラブルに陥った第3クォーター中盤にビハインドを背負うと、終盤に3ポイントシュートに当たりが来ず、最後まで反撃のきっかけをつかめないまま70-81で敗れた。
千葉は宇都宮の強みであるオフェンスリバウンドで16-12と上回ったが、セカンドチャンスポイントでは11-22と下回り、ターンオーバーからの得点も6-15と大きく水をあけられた。大野篤史ヘッドコーチは「セカンドチャンスポイントのポゼッションゲームだったり、フィフティ・フィフティボールのところ、そういうところで負けてしまったのが一番の要因」と敗因を挙げた。
良い意味でチャンピオンシップに相応しい、なかなか笛が鳴らない展開となった。そのため、純粋なフィジカルバトルの勝敗が結果に結びつきやすく、これを得意としている宇都宮に軍配が上がった。もちろん、3ポイントシュートがあと1、2本決まっていれば展開は変わったかもしれない。だが大野ヘッドコーチは「シュートは水物でコントロールできない部分」と言い、「オフェンスでエントリーが重くなってしまったので、明日は視点を変えてオフェンスを組み立てていこうと思っています」と、あくまでも自分たちがコントロールできる部分にフォーカスし、第2戦を戦い抜く覚悟だ。
「一人ひとりがもっとリングに向かう意識が必要」
この試合で富樫勇樹はチームハイの18得点を挙げたが「なかなか自分たちのリズムでプレーさせてもらえず、苦しい時間が多かった」と試合を振り返った。特に後半に入ると、富樫は宇都宮の徹底したマークに遭った。宇都宮はディナイでパスコースを塞ぎ、スイッチをして常に富樫に目を光らせていた。富樫が言う苦しい時間は、指揮官が挙げたエントリーが重くなった話とリンクする。
「パスをしたい場所にパスができなかったり、かなり押し出されてしまった印象があります。後半はなかなかボールを簡単に触らせてもらえなかったので、そこは問題点かなと。(大倉)颯太と一緒に出ている時間が多いので、ボールを誰が運ぶというのは問題ないですけど、普段やり慣れていない、普段チームでやっていないポジションでプレーしないといけなかった時間が多かったです」
宇都宮の注意が富樫に集中すれば、それだけ他のメンバーへの警戒レベルは下がる。この隙を突きたいところだが、それは言葉で言うほど簡単なことではない。富樫は宇都宮のディフェンスを素直に称えつつ、このように言う。「あっちもコミュニケーションを取りながら上手くスイッチしたりディナイをやってきて、その一瞬で空いた選手を見逃している場面もかなりあると思う。でもそれはボールへのプレッシャーがあるので、なかなか全体を見切れない部分もあります。対策もそうですが、一人ひとりがもっとリングに向かう意識が必要なのかもしれません」
もちろん、千葉は富樫を核としたチームで、オフェンスのセットも彼が中心となる。だが、それは相手も承知のため対策も講じやすい。周りの選手は正確にスクリーンをヒットさせるなど、身体を張って富樫がプレーしやすい状況を作り出すことも必要だ。また、その場のインスピレーションで相手の予想を超えるプレーをし、自身にマークを集中させることで富樫の負担を軽減させる方法もある。富樫が言う「一人ひとりがもっとリングに向かう意識」というのはそれを意味する。
連勝し、逆転でのシリーズ突破を目指す富樫は言う。「ゲーム1を落としてしまって後がない状況ですけど、コーチに言われたこと、チームで決めたことを5人で徹底してやる。お互いを信じて、このチームを信じてやるしかない」
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