3x3 U-23女子日本代表

文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

山本麻衣、馬瓜ステファニ、栗林未和、小山真実が活躍

3人制バスケットボール3×3のU-23ワールドカップは昨日が大会最終日。U-23女子代表が準優勝と躍進した。

馬瓜ステファニー、小山真実、栗林未和、山本麻衣とWリーグ所属の若手で構成される日本代表は、5チーム中2チームしか突破できないグループリーグを接戦続きながら全勝で突破。特に世界3位のフランス戦、残り30秒での山本の逆転2ポイントシュートで11-10と競り勝ったことでチームは勢いに乗った。

決勝トーナメントの3試合はすべて昨日行われた。準々決勝ハンガリー戦は、序盤から165cmと一際小さい山本が、スピードのミスマッチを生かしてドライブで執拗に仕掛ける。最初の一歩の出足で遅れてしまうハンガリーはファウルを連発し、試合開始から3分半でチームファウルが6に到達した。チームファウル7つ目からは無条件でフリースローが与えられるため、ハンガリーはフィジカルの強さを出せなくなる。短期決戦の3×3でこれは致命的。栗林が難しいフェイダウェイ、コーナーでの2点シュートを確実に決め、馬瓜ステファニーはブロックショットでチームを盛り立てた。どの選手も必ずしもシュートタッチは良くなかったが、ハンガリーがファウルトラブルに陥ってからは試合をコントロールし、悠々と逃げ切り18-12で勝利した。

3x3 U-23女子日本代表

165cmの山本がスピードとスキルで世界を翻弄

準決勝の相手はウクライナ。栗林のゴール下が抑えられて先行されるが、粘り強いディフェンスとボックスアウトで苦しい時間帯を耐える。残り5分で3-6と重い展開だったが、山本の連続2ポイントシュートで日本は一気に点差を詰めてクロスゲームに。日本はこの試合でも巧みにファウルを誘い、残り4分でウクライナはチームファウルが6に到達。栗林のフリースローで9-8と逆転する。ウクライナはファウルトラブルに加えて試合終盤で足が止まり、栗林がゴール下でイージーシュートを打てるように。山本の2ポイントシュート、栗林がゴール下での難しいフックシュートをねじ込んでリードを広げ、最後まで激しいディフェンスで相手にチャンスを与えず20-17で勝利した。

決勝の相手はロシア。いきなり山本のバスケット・カウントで2点を先行、その後も小山が一瞬の隙を突いて2ポイントシュートを沈めて7-3と好スタートを切ったが、この日3試合目とあって持ち味であるクイックネスが落ちていた。これまで最初の一歩の出足でアドバンテージを得てルーズボールを拾っていたのがなくなり、山本のドライブも1on1で抜き切れなくなる。またこれまではディフェンスローテーションが的確で相手にイージーシュートの機会をほとんど与えなかったが、そこでズレを作るようになってしまった。

強引にベースラインを突破する馬瓜のアタックで10-10と食い下がるが、試合が進むにつれて日本の動きは落ちていく。チェックが届かずフリーで打たれる2ポイントシュートを次々と決められる一方で、オフェンスは馬瓜の個人技による打開一辺倒に。残り1分9秒、無理なリバウンドを取りに行った栗林のアンスポーツマンライクファウルで与えたフリースロー2本を決められて12-21。最後はKO負けで準優勝に終わった。

3x3 U-23女子日本代表

決勝ではKO負け、それでも健闘を称える拍手

それでも男子は8強のうち6チーム、女子は5チームとヨーロッパ勢が圧倒的に強い3×3において、日本がファイナルまで勝ち進んだのは快挙であり、KO負けを喫しても日本代表の4人には会場から健闘を称える拍手が沸き起こった。山本は7試合で42得点(大会2位)を記録している。

栗林と山本は『U-23 Nations League』で、馬瓜ステファニーは5人制チームから助っ人として加わる形でアジア競技大会に出場しているが、個人としてもチームとしても経験不足は否めない。それでも準優勝と結果を残せたことは、2020年に向けて明るい材料と言える。

一方で大学生プレーヤーを集めた男子U-23日本代表は1勝4敗でグループリーグ敗退。ただ、こちらも強化が本格的にスタートしてから間がなく、継続的な強化が求められる。

3×3 U-23女子日本代表
7 馬瓜ステファニー(トヨタ自動車 アンテロープス)
10 小山真実(東京羽田ヴィッキーズ)
16 栗林未和(富士通 レッドウェーブ)
23 山本麻衣(トヨタ自動車 アンテロープス)

3×3 U-23男子日本代表
10 杉本天昇(日本大学 2年)
12 川島聖那(法政大学 1年)
28 野﨑由之(専修大学 1年)
95 齋藤瑠偉(専修大学 1年)