トレイ・ヤング

「今日は『僕たちvs会場のみんな』になることは分かっていた」

現地3月22日、マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)でニックスとホークスが対戦した。

このカードは昨シーズンのプレーオフファーストラウンドの再戦だが、もう一つの見どころは、ニックスファンvsヤングと言っても過言ではない。昨シーズンのプレーオフでは、MSGでの第1戦から、ニックスファンはヤングに対して野次を浴びせ続けた。しかし、ヤングは熱狂的なニューヨーカーを前に動じず、むしろ観客を煽って自ら『悪役』を買って出た。そのシリーズでヤングはニックスファンの敵意をエネルギーに変えて戦い、ホークスのセカンドラウンド進出の立役者となった。

今シーズンのクリスマスゲームに選ばれるほど、両チームの対戦は注目の一戦となっていたが、MSGで行われたクリスマスゲームにヤングは健康安全プロトコルにより出場できず。そのため、ヤングにとっては今回の対戦が昨シーズンのプレーオフ以来、初めてのMSGでの戦いとなった。

試合前にはニックスファンで有名な映画監督のスパイク・リーにハグされるなど、少なくともMSGにはヤングを迎える雰囲気があった。しかし、いざ試合が始まるとヤングがボールに触れるたびにブーイングが起きたが、その時間は長くは続かなかった。

ヤングは巧みなハンドリングからのドライブにディープスリー、そして第1クォーター終了間際には、ボグダン・ボグダノビッチによるスローインからのロングパスを空中でキャッチすると、そのままシュートをねじ込むビッグプレーを見せた。その後もヤングの勢いは止まらず、試合を通して3ポイントシュート15本中7本成功を含む45得点8アシストを記録。試合もホークスが117-111で制した。

試合後のコートインタビューで、ニックスファンからの野次について問われたヤングは「本当にそれを聞くことはできなかったんだ。騒々しくすらなかったよ」と笑って答えた。「今日は『僕たちvs会場のみんな』になることは分かっていた。そして、もし僕たちが毎試合でこういうマインドを持てていれば、勝つためのチャンスがもっと出てくると思う」

ホークスの指揮官ネイト・マクミランも「今夜は観客がプレーオフのようなエネルギーを持っていることは分かっていた」と振り返った。「だから、ニューヨークのこと、そしてプレーオフシリーズのことは選手に話さなかった。今夜はバスケットボールに集中するようにした。私たちはこの試合に勝つ必要があったし、この勝利は切望していたものだった」

これで今シーズンの両者の対決はニックスの3勝1敗で幕を閉じた。それでもホークスにとって、このMSGで挙げた1勝は大きな意味があるに違いない。