ハーバート・ジョーンズ

ゲームに慣れることでオフェンス面でも存在感を発揮

昨シーズンのMVPに史上初めてドラフト2巡目指名のニコラ・ヨキッチが選ばれ、今シーズンのオールスターにドラフト外のフレッド・バンブリートが選出されたように、近年のNBAはドラフト上位指名でなくても活躍する選手が増えてきました。目の前のプレーに全力を注ぎ、成長を加速させていくエネルギッシュな選手には心を奪われてしまうものです。

今シーズンのルーキーにもドラフト時の低い評価を覆すエネルギー溢れる選手がいます。ドラフト2巡目35位のハーバート・ジョーンズはザイオン・ウィリアムソンが欠場している事で空いたポジションを奪い取り、ペリカンズに欠かせない戦力になりました。オフェンシブな選手が多く、明確にディフェンスが弱点のチーム事情はジョーンズにとっては幸運でした。細身の身体のジョーンズは、ウイングながらガード相手にもスピードでついていく事ができ、しかも長い手足を使ってシュートチェックに強みを発揮します。

ルーキーながら相手エースと対峙するジョーンズは、ドノバン・ミッチェルやデビン・ブッカーといったオールスター選手のシュートを塞いでいきます。NBAならではのファウルコールへの戸惑いもあってか、フィジカルに押し込んでくる相手にはやや苦戦するものの、スクリーナーをかわすスキルも持ち合わせており、粘り強い対応が光ります。ウイングながらガード相手に守るのが上手いのがジョーンズの強みになっています。

逆にガードながら、フィジカルな強みを生かして守れるのがドラフト38位のアヨ・ドスンムです。ガードを多く並べるブルズにおいて貴重なディフェンダーになっています。機動力を重視するブルズの戦術では、小さくてもハードワークする選手が重用されますが、特にドスンムは強烈なフィジカルで自分よりも大きな選手との競り合いも平然と制していきます。鮮やかさよりも泥臭さが目立ち、ルーズボールやリバウンドに食らいつく姿勢がチームに勢いをもたらしてくれます。

そのプレースタイルに反して、冷静にフロア全体を見ているのも面白い特徴で、ロンゾ・ボールやアレックス・カルーソが離脱するとポイントガードとしてオフェンスもリードしていくようになりました。ディフェンス面と違って軽やかなテンポでボールを動かし、強引に密集地帯を突破するよりも広いスペースを使いたがります。主役の多いチームで積極性と冷静さが程よくミックスされており、使いやすい選手になってきました。

最近はジョーンズもプレーメイカーとしてパスの供給役にもなれば、鋭いドライブも見せるようになってきました。2人に共通するのは、シーズン当初はディフェンダーやハードワーカーとしてプレータイムを得ていたのが、ゲームに慣れることでオフェンス面でも存在感を発揮している事です。経験を確実に力に変えており、共にプレーオフを目指すチームにいるだけに、緊張感あふれる戦いの中でさらに成長することが期待されます。