杉浦佑成

文=丸山素行 写真=バスケット・カウント編集部、B.LEAGUE

ミスを恐れないメンタル「失敗してもいいじゃん」

3年目を迎えるBリーグはオン・ザ・コートルールの変更により、外国籍選手の試合にもたらすインパクトがより強くなると予想される。だが、外国籍選手に依存するチームではB1の上位を争うことは難しい。役割は限定されるにせよ、日本人選手にチームを支える働きが求められる。

サンロッカーズ渋谷で特に成長を求められるのが、特別指定選手としての加入から3シーズン目を迎える杉浦佑成だ。筑波大学ではインカレ3連覇を達成し、毎年個人賞を獲得してきた逸材だが、Bリーグではまだそのポテンシャルを発揮できているとは言えない。それでもアーリーカップでは、昨シーズンまでと違うアグレッシブな姿が見られた。千葉ジェッツとの3位決定戦に先発出場した杉浦はチーム最長となる32分間プレーし、12得点を記録した。

これまでの杉浦は無理をせず、空いたら打つという感覚でオフェンスに参加していたが、「良い意味でも悪い意味でも、普段から言われていることをやりすぎるくらいにやってやろうという気持ちはありました」とタフな態勢からでも積極的にシュートを放ち続けた姿勢を説明する。

結果的に精度はあまり高くなく、「暴走したというか、やりすぎちゃったかなって」とその時を振り返ったが、自己最多のシュートアテンプト17本は、杉浦の変化を表すものだ。

「いつも積極的に行けと言われてましたが自信がなくて、できなかったんです。一番の心境の変化は、『失敗してもいいじゃん』っていう気持ちになったことですね」と杉浦は言う。

杉浦佑成

「何を恐れているんだと。ミスくらいするさ」

言葉で聞くと簡単なように聞こえるが、マインドチェンジは決して容易ではない。オフに経験したロサンゼルスでのプレーが、変化のきっかけだと杉浦は言う。

「(山内)盛久さんと2人でロサンゼルスに修行という形で行かせてもらいました。現地の大学生もいるし、リトアニアとかでやっている選手もいる中で一緒にゲームをしました。みんなすごいアグレッシブで、刺激を受けたんです。そこで『何を恐れているんだと。ミスくらいするさ』という気持ちになりました」

その大きな身体とは裏腹に、杉浦は「自信がない」などネガティブな言葉を素直に口にしてしまうタイプだ。「正直、高校や大学であんまり怒られるキャラでもなかったです」と結果を出せないことへの免疫がなく、下を向いてしまうメンタル面の弱さがプレーにも出ていた。それでも「怒られ慣れたというのもありますし、期待してくれているから多くを言ってもらえるのかなって最近は思います」と、意識を切り替える術を学んだ。

そして今、新たな自分を手にした杉浦は、「のし上がる年にしたい」と新シーズンに向けて抱負を語る。「大学までは注目されていたんですけど、今は……みたいな感があるのを僕も感じています。埋もれるんじゃなく結果を残して、一気にのし上がる年にしたいです」

福岡大附属大濠から筑波大学とバスケのエリートコースを歩んできた杉浦。プロの世界に入って初めての挫折を経験したが、その時間は無駄にはならず、メンタル面で成長した。『雑草魂』を手に入れ臨む新シーズン、期待せずにはいられない。