文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

我慢の展開から連動したオフェンスで京都が活路を見いだす

前日は66-37という滅多に見られないロースコアの展開となったシーホース三河と京都ハンナリーズ、その第2戦。立ち上がりは前日に続いて、なかなか点の入らない重い展開となった。

三河のディフェンスは、前から橋本竜馬が激しく当たって相手の素早い切り替えを許さず、ギャビン・エドワーズを中心にペイント内で圧倒的な圧力をかけてイージーシュートを許さない。ドライブで揺さぶってからのケビン・コッツァーのシュートで、京都の得点が生まれるまで、試合開始から実に3分以上かかった。

ただし三河もオフェンスに転じると動きが重い。比江島慎のフェイダウェイシュートで先制した後はなかなか得点が伸びない。そんな中、京都がファストブレイクの好機をミスで逸すると、三河のスイッチが入る。比江島の3ポイントシュート、激しく当たってオフェンスファウルを誘った橋本が直後のプレーで3ポイントシュート、さらには比江島のミドルショットと一気にたたみかける。京都の最後のポゼッションではシュートを打たせることなく、19-9で第1クォーターを終えた。

ところが第2クォーターは一転して京都の時間帯に。両チームとも外国人選手オンザコート「2」の状況、最初こそコッツァーとローレンス・ヒルがアイザック・バッツの圧力に押し負けて攻めあぐねたが、日本人選手がゴール下に走り込んで揺さぶることでペースをつかむ。内海慎吾への合わせ、岡田優介のドライブなど積極的な仕掛けで京都の時間帯を作ると、マーカス・ダブがバッツに弾かれながらもジャンプシュートを決める。

この間の京都はディフェンスでもインサイドのトラップが次々と決まり、高さとパワーのハンデを埋めることに成功。29-34までビハインドを縮めて前半を終えた。

長谷川の起用があたり、三河が後半に爆発

迎えた後半、三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは拮抗した展開を打ち破るべく、シューティングガードが本職の長谷川智也を3番ポジションでコートに送り出す。「動きにキレがあったので」と試合後に鈴木ヘッドコーチが説明した起用が当たった。まずは桜木ジェイアールがインサイドで得点を奪うと、長谷川が思い切り良く2本続けて3ポイントシュートを決めて京都を突き放す。

京都はたまらずタイムアウトを取るが、三河の勢いは止まらない。比江島が正確なミドルショットを沈めると、長谷川が3本目の3ポイントシュート。さらには桜木のバスケットカウントでの3点プレー、オフェンスリバウンドを奪ってからのエドワーズのトマホーク・ダンクが飛び出し、18-2のラン。ここで52-31と一気に勝利を引き寄せた。

第3クォーター後半は岡田の3ポイントシュート、コッツァーがゴール下で相手選手4人に囲まれながらしぶとく得点するなど京都も見せ場を作るが、三河の堅守の前に連続得点を挙げることはできず、流れを引き戻すには至らない。

第4クォーターも三河は攻守に手を緩めることなく、エドワーズの速攻からのアリウープが飛び出し、残り3分5秒には長谷川のこの試合4本目となる3ポイントシュートが決まり、73-43とリードを30点にまで広げた。最終的に80-49で三河が勝利。大阪エヴェッサと対戦した前節に続いての連勝で、これで4連勝となった。

三河の鈴木ヘッドコーチ「ディフェンスが完璧にできた」

殊勲の長谷川智也は試合後、「後半どちらが我慢強くやれるかという展開で、それをやったウチが勝てた」と語る。「後半スタートで出してもらって、相手のシューターの岡田選手をシャットアウトしようと思ってやりました」と、オフェンスだけでなくディフェンスでも貢献できたことを強調した。

いずれにしても、第1戦と第2戦を通して三河にとっては自慢のディフェンスが機能して勝利したゲームとなった。鈴木ヘッドコーチも「立ち上がりはお互いに点が入らない、自分たちのプレーができない試合。その中で、京都に対してやらなければいけないディフェンスが完璧にできた」と満足気な表情を見せた。

敗れた京都はこれで5連敗。前日に比べれば、京都の時間帯を作れたことが収穫だが、チームハイの16得点を挙げた岡田は「強い相手なので厳しい展開になるのは覚悟していたが、第3クォーターの前半、相手に流れが来た時に耐えることができなかったのは残念」と試合を振り返った。

三河は次節、名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの対戦。先に連敗を喫した『愛知ダービー』であり、西地区の首位決戦でもあり、負けるわけにはいかない。鈴木ヘッドコーチは「前回はあまり良い状態ではない中で、両方とも勝てるゲームで自分たちのバスケットを徹底できずに2敗した。今度は2勝したい」と、早くも来週の試合に向けて意気込んでみせた。