ディアロン・フォックス

インサイドのサボニスが起点となり、チーム全体が連動するオフェンスに

トレードデッドラインで積極的に動いたキングスは、ドマンタス・サボニスのダブル・ダブルの活躍もあり、ウィザーズを123-110で破りました。トレードによるプラスの効果が早速出て、2試合続けて点の取り合いを制しています。ポイントセンターとしてチーム全体を変えるサボニスの『らしさ』に溢れたオフェンスは、プレーイン争いに期待を持たせる内容でした。

特に目立ったのはエースのディアロン・フォックスとのコンビプレーで、2人のパス交換でディフェンスを崩し、両コーナーを使ったワイドな展開が機能したことです。パス能力の高いサボニスですが、それだけでなくスクリーンに行く回数が多く、ボールを持ったフォックスを助けに行くのはもちろん、サボニス自身からもハンドオフプレーを促し、2回3回とフォックスとのコンビプレーを連続していました。

これまでオフェンスを作ってきたタイリース・ハリバートンは、フォックスとスペースを取り、お互いの邪魔こそしていなかったもののコンビとしての連携は少なく、『チームオフェンスの中心であるハリバートンと、個人技で勝負するフォックス』という構図になっていました。必然的にフォックスは孤立することが多かったのですが、サボニス加入でプレーが大きく変わりました。

フォックス以上に『サボニス効果』を感じさせるのはハリソン・バーンズで、2試合続けてフィールドゴール成功率が70%を超え、30得点、21得点と活躍しています。インサイドのサボニスに起点が変わり、しかもフォックスのコンビプレー連発で、その逆サイドにいるバーンズが空くことが増え、バーンズ自身も長い距離を走るオフボールムーブでパスをもらい、ディフェンスをずらした状態でのドライブアタックが目立っています。フォックス同様にディフェンスと正対した状態からの個人技は減り、チーム全体が連動し始めました。

サボニスは加入したばかりで連携も何もない状態のはずが、チーム全体を巻き込んで良い方向に変えています。サボニスの特別な力を感じずにはいられない試合内容であり、ここからさらに浮上していくことが期待されます。ただし、サボニスとポジションが被るリショーン・ホルムズがベンチスタートとなり、ただでさえ厳しかったディフェンス力はさらに低下しています。サボニスはリムプロテクト能力に課題があり、それを3ポイントシュートとブロック力の高いマイルズ・ターナーがカバーして攻守のバランスを取っていたペイサーズ時代に比べ、ディフェンスの課題が大きそうです。

キングスが勝率5割に届いていないのは、ディフェンスが弱いだけでなく、試合終盤に個人技に頼るオフェンスにも問題がありました。サボニスが早々にフォックスと良い関係を築くことができ、最後までチームとして連動したオフェンスができたことは、勝率を大きく変える可能性を秘めています。低迷が続くキングスですが、今回のトレードは大成功だったと言えそうです。

https://youtu.be/ey2f3P4FWV8