赤穂ひまわり

カナダ戦ではここぞの場面でチームに勢いを与える

バスケ女子日本代表はワールドカップの出場権を懸けて、現在ワールドカップ予選を戦っている。

10日に行われた初戦のカナダ戦は、延長の末に86-79で勝利したが、第3クォーター残り約7分にはこの試合で最大となる20点ものビハインドを背負った。しかし、日本代表はそこから見事にカムバックを果たして、大逆転勝利を収めた。

恩塚亨ヘッドコーチは試合序盤から頻繁にメンバーチェンジを行ったが、赤穂ひまわりは馬瓜ステファニーの35分18秒に次ぐ、33分35秒とチーム2番目に長いプレータイムで、15得点5リバウンド1ブロックで勝利に貢献した。

ひまわりは「前半はすごく流れが悪くて相手のペースでずっと進んでしまい、点差も開いてしまいました」と苦戦した前半を振り返った。日本にとって3ポイントシュートは大きな武器だが、この試合ではカナダのハードな守備を前に自分たちのリズムでシュートを打つことができず、第3クォーター終了時点で3ポイントシュートは11本中2本成功と強みを発揮できずにいた。また、アウトサイドシュートだけでなく、スクリーンも上手くヒットできずに、個々で無理やりアタックしてはリングに嫌われて相手に走られる悪循環となった。

「前半はすごく足が止まっていたバスケットになってしまったので、ドライブに行っている人だけじゃなく、周りがもっと動いて単独の攻めにならないようにみんなで攻めよう、どんどん繋がっていこうとハーフタイムで話して、後半はそれが上手く出せたのかなと思います」

チームバスケではなく個のプレーが目立ちオフェンスが停滞する状況で、ディフェンスも同じだったとひまわりは言う。「前半は相手にやられているところをみんなで守ろうという意識が少なくてずっとやられ続けてしまいました。そこはアジャストが足りなかったです」

ひまわりがこう語ったように、前半は攻守ともにチームとしての力を発揮できず苦戦を強いられた。それでも後半は「やりたいバスケが出せて、その結果、オーバータイムでも足を使ったバスケができて最終的に勝ち切ることができて良かったです」と手応えを語る。

赤穂ひまわり

「お姉さん方は悪い雰囲気の時にすぐにハドルを組んだりしてくれる」

ひまわり個人で言えば、46-54で迎えた最終クォーター冒頭で3ポイントシュートを沈めると、中盤にはアタックからバスケット・カウントを奪ってチームに勢いを与え、残り3分にはドライブを決めて67-65とついに逆転に成功するなど、ここぞの場面で得点を挙げた。また、73-73と同点で迎えた延長戦でもひまわりのブロックショットから生まれたポゼッションでドライブを決めて先制すると、3ポイントシュートも沈めて攻守に力を発揮した。

ひまわりは23歳と年齢こそ若いが、銀メダルを獲得した東京オリンピックでも主力を務め、若手主体で挑んだ昨秋のアジアカップでは大会を通じてチーム最長となる平均29.5分の出場で10.6得点、5.0リバウンド、1.6アシスト、2.2スティールと攻守に活躍して金メダル獲得に貢献し、大会MVPにも選出された。

今大会でも主力としてチームに貢献しているが、そこには『お姉さん方』の存在が大きいと言う。若手主体で挑んだアジアカップに対し、今回はオリンピックメンバーや渡嘉敷来夢が代表に復帰し、ベテラン勢がチームを支えている。

ひまわりは言う。「お姉さん方は試合の流れを読んだり、悪い雰囲気の時にすぐに声を掛けてくれたりハドルを組んだりしてくれて、悪い流れを切るタイミングがすごいなと思います。そういうところがすごく助かっています」

ひまわりが先輩たちについてこう語れば、渡嘉敷は「若い子からすごくエネルギーをもらっています」と試合後の会見で語った。このように若手とベテランが支え合って、それぞれの持ち味を発揮して勝利を掴つかみ取った女子日本代表は、次戦(13日)でボスニア・ヘルツェゴビナと対戦する。相手はWNBAのMVP選手、ジョンクェル・ジョーンズを擁するチームだ。ひまわりは「ジョーンズ選手だけじゃなくて、周りもすごく良い選手がいると聞いています」と警戒するが、「日本の強みをしっかり生かして相手のペースじゃなく、ずっと日本のペースでできれば勝てると思います。そこをカナダ戦のようなペースにならないように頑張りたいです」と意気込んだ。