キャリス・ルバートに続いてサボニスも放出、思い切ったトレードに出る
トレードデッドラインに向けて活発な動きを見せるペイサーズは、キャリス・ルバートに続いてドマンタス・サボニスも放出しました。再建の動き自体は想定されていましたが、チームの中心だった2選手のトレードは予想外でもありました。特にサボニスはどのチームも欲しがる貴重なポイントセンターで、もっと多くの対価を得られたはずです。
2017年のオフにも絶対的エースだったポール・ジョージが契約更新しないことを明言したため、ペイサーズはトレードに踏み切りました。この時も多くのドラフト指名権を得られる状況でしたが、サンダーが提示したビクター・オラディポとサボニスでトレードが成立しました。当時は釣り合いが取れていないと見られましたが、オラディポとサボニスはオールスター選手へと成長し、チームは低迷期を経験することなく再建に成功しています。
今回のサボニスのトレードも、ペイサーズのフロントがタイリース・ハリバートンのポテンシャルに絶対の自信を持っているからこそ成立したものでしょう。ディアロン・フォックスが離脱しているキングスで、ハリバートンはチームリーダーとして見事なプレーを披露していました。フロアを広く使ってオフェンスを組み立てる戦術能力の高さは、ポジションこそ違えどサボニスに通じる面があり、単純な個人技以上にペイサーズが重視しているポイントであることがうかがえます。
サンダーではパワーフォワードだったサボニスがオールスターへと成長したのは、センターへのコンバートが大きく関係していました。それでも高さ不足というデメリットがあるため、ディフェンスを考えるとマイルズ・ターナーと並べる必要がありました。サボニスが素晴らしい活躍をしている一方で、チームが勝ち切れない要因に攻守のバランスを取る難しさがあったのも事実です。
もともとはターナーが放出対象と言われていましたが、今回のハリバートンの獲得はターナーの高いリムプロテクト能力を使った再建と見ることもできます。ハリバートンはキングスでもリショーン・ホルムズとのコンビプレーからの崩しを多用していただけに、ターナーのオフェンス能力を引き出せば、低迷期間を経ることなくチームを立て直すことも可能でしょう。
将来のドラフト指名権に賭けるのではなく、明確な戦力を取りに行く。これは戦力の見極めに自信のあるペイサーズならではの判断と言えます。そのペイサーズが彼らにしては珍しく、派手なトレードに踏み切りました。ポジションバランスを整えたトレードとなりましたが、それでもポイントガードにマルコム・ブログドンがいて、ルーキーのクリス・ドゥアルテの活躍があり、バディ・ヒールドを獲得したことも含めて、ガードのポジションは戦力過多です
シーズン前はベン・シモンズの獲得に熱心と言われたペイサーズが、トレードで手に入れた指名権も使ってさらに動く可能性もあります。再建に何年もかけるチームを横目に、ここで一気にチームを作り変えて再建を果たしてしまうのか。ペイサーズはなおもトレードデッドラインで最も大きな注目を集めています。