ウィザーズのシーズンは実質的に終了、来シーズンに備えることに
ブラッドリー・ビールには常にトレードの噂があった。2年前にウィザーズとの契約更新に応じたが、あえて短期契約を選んだ。成績が年々下降する状況で、ウィザーズに愛着を持ちながらも「ここでプレーを続けていいのか」と確信が持てなかった結果の選択だろう。その一方で、ジョン・ウォールがアキレス腱断裂の大ケガを経てトレードされる過程において、ウィザーズ首脳陣にとってビールは絶対的な存在となっていった。この2年、ラッセル・ウェストブルックを獲得したのも、そのウェストブルックとのトレードで選手層を分厚くしたのも、ビールに「このチームでずっとプレーしたい」と思わせるためだった。
彼自身、「今回は自分のキャリアのための決断をさせてもらいたい。最終的にはわがままを言うかもしれない」と、ウィザーズへの愛情とともに、その思いが揺れていることを正直に言葉にしていた。2022-23シーズンの契約最終年がプレーヤーオプションで、これを破棄すればフリーエージェントとなる。勝てないウィザーズはトレードデッドラインを前に再建に舵を切る可能性があり、リーグトップレベルのビールの得点能力に期待する多くのクラブが、ウィザーズのその決断を待っている状況だった。
しかし、このタイミングでビール移籍の可能性は思わぬ理由で潰えた。手首のケガで数試合を欠場していた彼は手術に踏み切り、今シーズンの残り試合ではプレーしないこととなったのだ。ウィザーズを通じて彼は、次のコメントを発表している。
「この10日間を治療とリハビリに費やして、僕自身の基準や、チームとファンが期待するレベルでプレーするレベルにないことが分かった。このような形でシーズンを終えるのは残念だけど、これが最善の方法だとみんなで決めた。100%の状態で復帰し、これまでのようにチームを引っ張り、未来に向かってともに進んでいきたい」
おそらくビールは、今シーズン終了を待って最終年の契約を破棄し、ウィザーズと5年2億4600万ドル(約280億円)の大型契約を新たに結ぶ。新契約を結んだ後でトレードという選択肢もあるものの、手首の手術で獲得する側にもリスクが出るため、このままウィザーズ一筋でプレーすることが濃厚だ。
それと同時に、ウィザーズの今シーズンはビールの手術とともにガベージタイムに入る。このトレードデッドラインを前に余剰戦力を手放し、ビールが復帰する来シーズンに備えた動きを取るだろう。ビールと相性が良くないと言われるスペンサー・ディンウィディー、今シーズン限りで契約が切れるモントレズ・ハレルとトーマス・ブライアントが放出候補となるが、他の選手についてもプレーオフ上位を争うチームがトレードを申し入れてくればウィザーズは応じる可能性が高い。