ジョシュ・ホーキンソン

インサイドでミスマッチを付き、ワイドオープンを作り出す理想的な攻め

信州ブレイブウォリアーズは3日前の琉球ゴールデンキングス戦で、終始リードする展開ながらラスト18秒で岸本隆一に2本の3ポイントシュートを決められる大逆転負けを喫した。それでも大阪エヴェッサをホームに迎えての今日の第1戦では、オフェンスもディフェンスもチーム一丸、最後まで試合巧者ぶりを発揮する素晴らしいバスケで89-79の完勝を収めた。

前半はほぼ信州ペース。ウェイン・マーシャルとジョシュ・ホーキンソンが快調に得点を伸ばし、三ツ井利也、栗原ルイスも3ポイントシュートのチャンスを確実に決めて先行する。これは個々のシュートタッチが良かったと言うよりは、インサイドでミスマッチができれば見逃さずに突き、そこに相手が寄れば外にさばいてイージーなチャンスを作り出すチームオフェンスが機能した結果だ。

同時にチームディフェンスも機能し、大阪の得点源であるディージェイ・ニュービルにストレスを与え続け、個々での打開に追いやった。こうしてターンオーバーを誘ってはトランジションに持ち込み、さらにイージーシュートのチャンスを増やしていく。信州はいきなり27-11のビッグクォーターを作り、第2クォーターも自分たちのペースで試合を進めていった。

前半を終えて43-31と信州がリード。それでも大阪は第2クォーターのラスト2分でニュービルが3本のシュートすべてを沈めていた。ニュービルが当たり始めれば12点差は十分に巻き返せるはずだったが、開始早々にデイビッド・ドブラスが個人4つ目のファウルでベンチに下がり、その後を繋いだ竹内譲次も第3クォーター終盤にファウルアウトと、どうにも良い展開に持ち込めない。

そこには信州の抜け目のない試合運びがあった。ディフェンスの激しさでは大阪も引けを取らなかったが、それでも信州のディフェンスは、相手のキーマンであるニュービルに快適にプレーさせないという点で徹底していた。ニュービルが速攻に転じようとした瞬間に熊谷航が結果的にアンスポーツマンライクファウルとなる激しい当たりで止めたり、ニュービルが審判に不満を言わずにはいられないほどマーシャルがフィジカルに寄せたり。またリバウンドやルーズボールではこぼれる場所を読んで一歩先んじて、フィジカルでの競り合いに持ち込ませなかった。

ディージェイ・ニュービル

ニュービルが試合を支配するも、相手の攻めを止められず効果半減

ただ、これだけ徹底した対策を取ってもニュービルを抑えることはできなかった。普通の選手なら打たないタフなシチュエーションに追い込んでも打ちきり、それを決めることで自分で自分の調子を上げていく。第2クォーターで10点、第3クォーターで12得点を記録したニュービルは、第4クォーターではオフィシャルタイムアウトまでに10得点を記録。信州が人数をかけた瞬間に、ゴール下のアイラ・ブラウンにパスを送ってイージーダンクをアシストするなど、手の付けられない出来だった。

しかし、ニュービルが神がかり的なパフォーマンスで試合を支配しているはずが、残り2分の時点で信州が85-74とリードしていた。信州はニュービルを止められなくてもパニックに陥ることなく、オフェンスに転じると的確にミスマッチを突く効率の良いプレーを継続していた。信州は速い攻めからレイアップを落とすミスがあっても、しっかり追いかけていたホーキンソンが押し込むなどチームプレーが機能。一方で大阪は、信州がワイドオープンのシュートを外したにもかかわらずボールウォッチャーになってオフェンスリバウンドを拾われ、そこでフリースローを与えるなど、攻めに意識が向きすぎたことでニュービルの得点ラッシュの効果を半減させてしまった。

結局、ニュービルが17得点を挙げた第4クォーターも信州は2桁のリードをキープし、最終スコア89-79で勝利。ヘッドコーチの勝久マイケルは、素晴らしい遂行力を発揮しての勝利に「選手たちの人間性の部分」と選手たちを称えた。

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