佐古賢一の『バスケット談義』vol.2~デッドヒートのB2西地区で『インサイドとアウトサイドの融合』の理想形を探す

佐古賢一の『バスケット談義』vol.2~デッドヒートのB2西地区で『インサイドとアウトサイドの融合』の理想形を探す

2016/10/19 10:00

文=岩野健次郎 写真=高村初美

華々しいスタートを切ったBリーグにあって、2部リーグである「B2」はやや注目度が落ちるが、それでもB1所属クラブに劣らぬ実力を備えた強豪も存在する。その一つが広島ドラゴンフライズだ。初年度のB1昇格を虎視眈々と狙うチームを率いる「Mr.バスケットボール」こと佐古賢一ヘッドコーチに、チームの状況やバスケ界の話を聞く。

PROFILE 佐古賢一(さこ・けんいち)
1970年7月17日生まれ、神奈川県出身のバスケットボール指導者。中央大学3年次に日本代表入り。卒業後はいすゞ自動車リンクスに入団し、2002年にはアイシンシーホースに移籍して「プロ宣言」をした。ずば抜けた技術と勝負強さで数々のタイトルを獲得し、2011年に現役引退。広島の初代ヘッドコーチとして2014年から指揮を執っている。

広島、島根、熊本の3強と目されるB2西地区。すでに島根vs熊本、広島vs熊本の『昇格候補の直接対決』は1勝1敗と星を分け合い、早くもデッドヒートの様相を呈している。昇格を目指す最大のライバルと互いに意識する、島根と広島による2連戦は、予想通りの激しい首位攻防戦に。土曜の第1戦は85-87で惜敗、そして日曜の第2戦は77-55と快勝。佐古ヘッドコーチに試合を振り返ってもらった。

コンディションという面では昨シーズンよりもずっと良い

──まずは第1戦ですが、大激戦の末に敗れました。

佐古 勝てるチャンスはあったのですが、島根は我々よりも「勝ちたい」という気持ちが強かったです。ルーズボールやリバウンドなど球際で負けてしまい、手の打ちようがありませんでした。広島もハードにプレーしましたが、どこかで相手のミスを期待していた感があり、リードした時に何となく勝つんじゃないかと軽く考えてしまったというか、メンタルの弱さが出てしまった。

──試合のポイントはどこにあったのでしょうか。

佐古 リバウンドです。オフェンスリバウンドを取られてセカンドショットで決められたのが20点ほど。逆に広島は、セカンドショットを一桁に抑えられました。島根はビッグマンのジョシュ・デービスが機動力もあるので、彼のボールプッシュをケアしなければならなかったのですが、これがうまく行きませんでした。前半を終えた時点で同点、後半はサイズのある広島と機動力のある島根、どちらの良さが出るかがポイントでした。結果として島根のストロングポイントが我々を上回ったということです。

──続く第2戦は77-55と快勝しました。

佐古 この試合は1ピリオドがすべてでした。今シーズン最高の出来といっても過言ではない快勝だったと思います。特にディフェンスで激しくプレッシャーをかけるところから、オフェンスへの切り替え、また我々のビッグマンに伝えたスクリーンをかけた後に深い位置までしっかりと入り込む動きが良かったです。やっていることは前日とほとんど同じだったのですが、ビッグマンの反応というか、ガードに対する合わせのプレイが前日と比べて格段に良くなったのが違うところです。

──今回の対戦は1勝1敗に終わりました。ライバル島根の印象は?

佐古 インサイドで強烈な選手がいますし、日本人選手の3ポイントシュートの確率もリーグ屈指と、インサイド・アウトサイドのバランスの取れたチームです。ディフェンスのプレッシャーがありますし、高さもある、またシューターの判断力も非常に良いのが脅威ですね。島根のビッグマンによる「なだれ込んでくる」リバウンド力は非常に圧力を感じます。

──次節の鹿児島戦で西地区の対戦が一巡します。あらためてシーズンの入りをどうお考えですか?

佐古 開幕前からケガ人が多発し、準備不足の面は否めませんが、それでもコンディションという面では昨シーズンよりもずっと良いです。ただ、まだ自信を持てるレベルまでには行っていないし、現状は良いところもあれば悪いところもある。ゲームをやりながらアジャストを行い、チーム内で上がってくる様々なデータの平均値の底上げを続けていかなければなりません。

広島の選手はとてもポテンシャルが高い

──8試合を終えて、熊本と島根と並んで6勝2敗。得失点差で現在首位に立っています。

佐古 上位3チームによる直接対決の結果が1勝1敗なので、どうこう言うのは気が早いですね。2巡目でしっかり2勝できる態勢を作っていきたいです。勝てるゲームの取りこぼしは絶対にあってはならないですし、接戦を必ずモノにするようなメンタルの強いチームを作ります。

──広島の試合を見ていると、個々の選手のポテンシャルは非常に高いと感じます。佐古ヘッドコーチが考えるチームとしての『理想形』はどのようなものですか?

佐古 インサイドとアウトサイドの融合です。具体的に言うと、インサイドのビッグマンがディープの位置でアタックした時、ディフェンスが仕掛けるトラップに対し、シューターへしっかりとしたパスを出す。それをチーム全体の動きとして構築するということです。

──まだうまくは行っていない印象ですか。

佐古 現状では、ポストにボールが入ったらトラップがあっても無理してタフショットとなることがあるのですが、ここからもう1本、シューターに効果的なパスを出して、オフェンスのバリエーションを出していきたい。インサイドの動きに対するアウトサイドの適切なリアクション、またインサイドとアウトサイドのバランスが非常に重要です。4ピリオドの競った状況では、ディフェンスもトラップなどで様々なことを仕掛けてきますから、これを効果的に対応して崩すオフェンスを構築するのが私の狙いです。

──なるほど。他にはありますか?

佐古 ファストブレイクでは、参加する選手が3人になっていることが多く、単発です。これにビッグマンが加わり、リングに向かってなだれ込んで相手に圧力をかけることが必要だと思っています。広島の選手はとてもポテンシャルが高いと思っているので、我々の目指すバスケットの実現に向けて取り組んでいきます。

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