「自分が攻めるよりもスペースを広げることを意識していました」
8月2日、バスケットボール女子日本代表はナイジェリアを下し、2大会連続で決勝トーナメント進出を果たした。
最終スコアは102-83とハイスコアリングゲームとなったが、その理由は日本の生命線である3ポイントシュートが大当たりしたからだ。林咲希が11本中7本、宮澤夕貴が8本中5本の3ポイントシュートを成功させ、チーム全体でも39本中18本の成功(49%)と高確率で決まった。
もちろん、2人のシュート力は称賛に値する。それでも、打ち手だけではなく、パスの出し手である町田瑠唯も称賛されるべきだ。町田は小気味良くボールを散らしつつ、ドライブで相手ディフェンダーを引きつけてはキックアウトし、味方のシュートチャンスを演出。約20分間の出場で15アシストを記録した。これはオリンピックの1試合最多アシスト記録に並ぶ驚異的な数字だ。
そんな大記録を達成した町田だが「私自身はアシストの数を気にしていませんでした」と話し、自分の手柄にせずチームメートへの感謝を語った。「周りの選手が走ったり、良いスペースに動いてくれたことで、アシストの数がついてきます。自分ではなく、周りの選手たちに感謝しています」
どんなに良いパスを供給しても、フィニッシュが決まらなければアシスト数は伸びない。自身の記録よりも勝利への貢献度を優先する町田だけに、こうしたコメントが出るのは必然だ。それは、立ち上がりが重かった部分に目を向け「3ポイントシュートがよく入りましたが、前半は自分がチームに良いリズムを作ることができませんでした」と反省の弁が出てくるところからもうかがえる。
町田は15アシストを挙げたものの、4本放ったフィールドゴールはすべて外れ、無得点に終わっている。もちろん、世界と戦うにはガードにも得点が求められる。しかし、この試合に関しては意識的にパスを増やしたと町田は言う。「シューター陣の調子が上がっていたし、自分のドライブにディフェンスが寄ってきたことも分かっていたので、自分が攻めるよりもシューターやダイブしてきた選手へのパスを狙ってスペースを広げることを意識していました」
決勝トーナメントでは、各国が日本の武器である3ポイントシュートを止めにかかってくる。「次の試合では3ポイントシュートを警戒されると思うので、自分もドライブをしっかり意識して、そこからキックアウトできるようにしていきたいです」と、町田もそれは十分に理解している。決勝トーナメントでは、アシストだけでなく得点力にも期待したい。