レブロン・ジェームズ

相手選手の指が目に入るアクシデントにも負けず、勝利を手繰り寄せる

一発勝負のプレーイン・トーナメントで、ウォリアーズは全盛期を思わせる強さを発揮した。そのチームと真正面からぶつかって勝った、しかもレブロン・ジェームズがクラッチタイムに劇的な3ポイントシュートを決めて勝利を手繰り寄せたのだから、チームの士気がこれ以上ないほどに高まったのは間違いない。

同点で迎えた最終クォーター残り1分、ケンテイビアス・コルドウェル・ポープがインサイドを突こうとするも攻めきれず、ショットクロックわずかなところでレブロンにボールを戻す。レブロンはその直前に、シュートを止めに来たドレイモンド・グリーンの指が左目に入るアクシデントに見舞われていた。試合が止まっている間に目薬を差すレブロンの表情は苦痛にゆがみ、試合が再開する時にもプレーに支障があるように見えた。

それでもレブロンは「時間がないのは理解していた。視界にフープが3つ見えたから、真ん中を狙った」と振り返る一発を決めた。

「指が目に入って、立てないぐらい痛かったけど、見えないわけじゃなかった。少なくとも試合を決めることはできたよ」とレブロンは淡々とした表情で語る。

アンソニー・デイビスは「あれが決まるなら、次もレブロンの目を突かなきゃいけない」とジョークを飛ばし、「でも、彼はこれまでのキャリアであんなシュートを決め続けてきた。本当にすごいことだよ」と称えた。

48分間を通して見れば、ウォリアーズにリードを許す時間帯が長く、相手の得意とする速いリズムに付き合わされ、ステフィン・カリーには最大限の警戒をしたにもかかわらず6本の3ポイントシュート成功を含む37得点を奪われている。ロサンゼルスでの試合だったにもかかわらず、ウォリアーズファンからのMVPコールはアリーナによく響いた。

レブロンは足首を気にする素振りを見せていたし、デイビスは肩の痛みがあることに加えてグリーンのマークに苦しみフィールドゴール24本中成功10本と確率が上がらず、安全健康プロトコルでの欠場が続き試合勘を取り戻していないデニス・シュルーダーはフィールドゴール14本中成功わずか3本と、さらにシュートタッチが悪かった。

それでもレイカーズはディフェンスに軸足を置く戦い方を忘れず、試合が進むにつれてタフな戦い方を際立たせて難敵を破った。

ベンチスタートながら30分間プレーして攻守に奮闘したアレックス・カルーソは「すべてのポゼッションを最後のポゼッションだと思って集中すること、ゲームの展開と相手のリズムに反応することがカギだ」と、プレーオフの雰囲気を漂わせる試合に求められるアプローチを語り、「チャンピオンのDNAとマインドが必要なんだ。みんなその領域に足を踏み入れ、経験を積むことができた」と、自分たちが得たものの大きさを誇った。

勝利したことで、サンズとのプレーオフ1回戦の初戦まで中3日の休養が得られる。NBAファイナルのような強度の高い試合をした後で、しっかり休養を得られるのはチームにとって大きなプラスになりそうだ。ヘッドコーチのフランク・ボーゲルはチームのコンディションをこう語る。「まだベストではないが、良い方向に進んでいるのは間違いない。1週間後にはみんな足がよく動くようになる」

そしてレブロンは言う。「今日と明日は目が痛むだろうけど、僕らは大きな勝利を手にしたんだ」