比江島慎

サマーリーグでの経験をこれから生かす

21年ぶりにバスケワールドカップへの出場を自力でつかんだ日本代表。昨夏から世界に挑むことをテーマに、オーストラリアリーグやNBAのサマーリーグを経験し、世界に挑戦し続けた比江島がワールドカップに挑む意気込みを語った。

これまでのバスケットキャリアは本人も言うように栄光続きだった。小学校から大学まで、ずっとタイトルを手に入れてきた。国内トップレベルに身を置いてもその輝きは増し、日本代表ではエースとして活躍。Bリーグの2年目にはシーズンMVPを受賞している。

その比江島が「挫折だったのかもしれない」と振り返るのが昨シーズンだ。オーストラリアに渡って、試合に出場できない悔しさを人生で初めて味わった。自ら苦しい環境に身を置いたのは、「大前提には代表で活躍するために成長したい」という思いがあるからだ。

その思いがあるからこそ比江島は挑戦することをやめず、今夏にはNBAサマーリーグにも挑戦した。しかし出場したのは3試合で計13分となり、悔しさが残る結果に。そこだけを見れば失敗に終わったかに見えるが、レベルの高い環境で練習できたことは本人にとってプラスでしかない。自分に足りないものをあらためて確認し、この経験をワールドカップやオリンピックに生かすことができると信じる比江島は、「この挑戦は失敗ではなく成功だ」と言う。

「オリンピックに出るということが、プロに入ってからはずっと夢だった」という比江島の夢が現実になろうとしている。しかしオリンピックで世界と互角に戦うためには、まずは目の前にあるワールドカップで世界の強豪を相手に戦い、日本が世界を相手にどれぐらい戦うことができるのかを知ることが重要になる。

ワールドカップでは予選リーグで格上であるトルコ、チェコ、アメリカと対戦するが、強豪国と対戦することで「バスケを知らない人も見てくれるかもしれないし、そういった大きな大会で自分の1対1が世界を相手に通用するというところを日本の人に見てほしい」とあくまでもポジティブに捉えている。サマーリーグでも練習ではフィジカルの強い選手にも通用したが、試合となると通用しなかった。その原因を本人は理解しており、「もっとアグレッシブに最初から攻める必要があった」と話す。ここで学んだことを生かす時こそワールドカップになるはずだ。

これまで世界に挑戦してきた経験をワールドカップという大舞台で発揮してくれるであろう比江島に注目したい。