
「自分たちも成長しなくてはいけない」
4月11日と12日、福岡県飯塚市で『MANDOM presents 飯塚カップ2026』が開催された。飯塚カップは飯塚市総合体育館のこけら落としイベントとして2023年から続く招待大会で、今年は福岡大学附属大濠、福岡第一、東山、開志国際が出場した。
大濠は、主力の本田蕗以、櫻井照大、中村文哉、白谷柱誠ジャック、そして片峯聡太ヘッドコーチがU18日本代表としてヨーロッパの強豪国と戦い、経験を積む中で、この大会は残されたメンバーにとって経験を積む場となっていた。「自分たちも成長しなくてはいけないと考え、思い切りよくプレーしました」。そう語るのは、85-83で勝利した初日の開志国際戦で32分27秒のプレータイムで16得点5リバウンド7アシストと、攻守に渡って活躍した2年生ガードの平良孔龍だ。
チームは、前半で2ビッグを主体としたオフェンスを展開し、平良はゲームコントロールに徹した。後半に入りスモールラインナップ、5アウトの戦術に切り替わると自身はアタックモードに。スペースが広がったフロアに切り込み、ペイントアタックを多く仕掛けて積極的にシュートを狙っていく。その結果、第4クォーターだけで14得点と荒稼ぎしたが、「相手の留学生がベンチに下がった後の得点となっただけです」と満足していない。また、残り6秒、1ポゼッションリードで得たフリースローの2本目をわざと外して相手にタイムアウトを取らせないなど、したたかな判断も光った。
2日目の東山戦は第1クォーターで32得点を奪われ、佐藤久遠に19得点、新井伸之助に17得点を献上して71-86で敗戦。福岡第一戦は相手ルーキーの宮城昊河の巧みなゲームコントロールと、ハンソンとデビシーの『ソップツインズ』に26得点を奪われ、56-73で連敗を喫した。
通算成績を1勝2敗で終えた結果を受けて、この大会で指揮を執った池田大輝アシスタントコーチは「君たちは大濠トロージャンズの看板が付いていることで、勝手に強くなっていると思い込んでいるだけだ」と一蹴した。代表組がいなくても大濠は強い。残されたメンバーにそれを証明して欲しかったからこそ、厳しい言葉が飛んだ。
「普段は照大さんが先発し、僕は後から出ることが多いのですが、今回は自分がしっかりゲームを作っていかないといけないという自覚はありました」と語る平良は先発起用に報おうとした。そして、こう続けた。「チームのオフェンスが停滞した時は、自分が得点を取らなくてはいけないという意識を持ち、しっかりと中に切り込んでシュートを打ちに行きました」。先発ポイントガードとしての責任、普段は本田や白谷が担う役割、それぞれを担ってプレーする覚悟で勝利に導こうとしたからこそ、勝利で期待に応えられなかったことは心に残ったに違いない。

「照大さんは目標というよりもライバル」
6人兄弟の平良だが、歳の近い2人の兄は開志国際に進学した。四男の宗龍は1年生で迎えたウインターカップ決勝戦で4連続3ポイントシュートを決める活躍でチームの優勝に貢献。卒業後は琉球ゴールデンキングスのトップチームに加入し、現在は岩手ビッグブルズでプレーを続けている。五男の奏龍も3年生で迎えた昨年のウインターカップで主力の一人として活躍した。兄の背中を追いかけて勝手を知る学校に進学するというのは、高校を選ぶ上で多く見られるケースだが平良は自身のレベルアップのために、兄たちとは違う大濠を選んだ。
「大濠は日本人選手だけのチームで、部内の競争力も高い。そういう環境でレベルアップをしたいと思いました。何より戦術やオフェンスのプレースタイルが自分に合っていると感じたので大濠を選びました。兄たちと同じ道をたどるのではなく、自分は自分の道を行きます」
そして、このチームで背中を見てきた先輩たちと櫻井という先発ポイントガードの存在はさらなるレベルアップの要因となっている。「照大さんは目標というよりもライバルになると思います。ですが、僕は照大さんとはまた違うタイプのポイントガードなので、自分の長所であるドライブやペイントエリア内のシュートを生かして、少しでもプレータイムを延ばしていけたらと思っています」
兄たちとは違う道を進み、自らの成長のためにチーム内競争を求め、大濠で戦うことを選んだ。そこではプレータイムを勝ち取るために倒さなくてはいけない存在との出会いがあり、自分のプレースタイルで打ち負かす決意をした。そして今回の飯塚カップでは先発ポイントガードとして、主力不在の中でチームを牽引しなくてはいけない大きな責任を実感し、勝利に導くことができなかった悔しさを体験。これらの経験のすべてが血となり肉となっていくはずだ。平良はまだ何も成し遂げていない。しかし、その前に広がる道がどれほど険しくとも、彼ならば必ず切り拓いていくはずだ。