後半に突如としてギアを上げ『モラントらしさ』爆発

ザイオン・ウイリアムソンは超シェイプアップした姿でトレーニングキャンプに現れ、ケガ続きだった過去と決別して自分のポテンシャルをあらためて世に問おうとしている。彼と同じ2019年のNBAドラフトで2位指名を受けたジャ・モラントも、ケガやコート外のトラブルに見舞われ、トッププレーヤーとしての地位を取り戻すシーズンとなる。

そんなペリカンズとグリズリーズによる開幕戦、終盤までもつれた接戦を制したのはグリズリーズで、勝利の決め手となったのはモラントのクラッチ力だった。

グリズリーズはタイ・ジェロームにスコッティ・ピッペンJr.とガード2人をケガで欠く状況。足首の痛みを抱えてプレシーズンゲームを全休し、開幕戦への出場が危ぶまれたモラントは強行出場したが、立ち上がりはリズムに乗れず、開始6分半で9-24と劣勢に立たされた。

前半のモラントは11得点を記録したものの本来のアグレッシブな動きが見られず、エースが低調ではチームも勢いに乗れない。だが、それは後半になって一変する。第3クォーターのモラントはフィールドゴール7本中6本成功と本領発揮となった。

ディフェンスの隙間に身体をねじ込んでいく強引なドライブから、フィニッシュの瞬間に変化してブロックをかわすシュートを次々と決めていく。そういった『らしい』プレーが出るたびにモラントは笑顔になり、チームは勢い付き、メンフィスの観客も盛り上がった。

試合は最後までもつれたが、残り33秒でモラントがドライブからトレイ・マーフィー三世をかわすフローターを決めて122-118とペリカンズを突き放した。29分の出場で35得点。『モラント健在』をメンフィスのファンに力強く印象付けた。

試合後のコートインタビューでモラントは「試合序盤はプレーが噛み合わなかったけど、僕らはお互いに声を出して、何が問題かを話し合っていた。一度噛み合い始めれば、あとは見ての通りさ」と満足気に語った。

そして彼はこの日の勝利を、チーム全員の努力の成果だと語る。「100%間違いなく、僕らはチームとして戦わなければいけない。勝利のためにはチームの結束が絶対に必要なんだ。この試合では何人もの選手が良い働きをしてくれたよ」

シーズン始動の時点で、モラントはこれまでの問題児から脱却するようにチームプレーの重要性をこう強調していた。「誰か一人が目立つんじゃなく、チームとして日々努力を積み重ねることが大事なんだ。僕はスタッツに残らない仕事に汗を流す選手を尊敬している。勝つにはそういう選手の働きが必要なんだ」

その言葉通りの展開となり、地元ファンの前で接戦を制して白星を挙げた。全82試合のうちの1試合にすぎないが、開幕戦での勝利はやはり格別だ。モラントは笑顔でこう語った。「学校の初日みたいに興奮した。今朝は6時半に起きてしまったよ!(笑)」