「どんな時でもポジティブにエネルギーを出し続ける」

大阪エヴェッサは週末のアウェー戦で、名古屋ダイヤモンドドルフィンズに手痛い連敗を喫した。ゲーム1は66-85、ゲーム2は70-87とともに大差での敗北となったが、ゲーム2の後半では大阪らしい粘り強さで反撃するなど明るい兆しがあった。

大阪の藤田弘輝ヘッドコーチも「昨日より良い内容でバスケットができたと思います」と振り返るが、もちろん満足はしていない。

「プロなので連敗したことをしっかり受け止めないといけないです。勝つためにはチームとしてのマインドセット、コート上での行動の質をもっと高めていかないといけません。幸運にもバスケットは1対1でなく5人でやるスポーツなのでもっとチーム力を高めていきたいです」

ゲーム2の前半を18点ビハインドで終えた大阪だが、第3クォーター終盤には10点差にまで縮める意地を見せた。この反撃をけん引したのが司令塔の青木保憲だった。激しいディフェンスで前からプレッシャーをかけて守備のトーンセットを行うと、オフェンスでは力強いドライブから3本のアシストを供給して攻撃の起点としても存在感を示した。

青木は「2試合を通してドルフィンズさんに僕たちのやりたいフローオフェンスの流れを切られてしまいました。今日は昨日よりもそれぞれの力を出して踏ん張れる時間帯はありましたが、オフェンスが上手くいかなったことを引きずってディフェンスに入ってしまったり、ポゼッションで上回れなかったことが大きな敗因だと思います」と総括する。

この試合、青木は攻守に渡るエナジー全開のプレーに加え、その闘志を味方に注入するがごとく鼓舞する姿が目立っていた。「バスケットボール選手として、これこそが僕の一番のアイデンティティです」とリーダーシップへのこだわりを語る。

「どんな時でもポジティブにエネルギーを出し続けることは自分の根底にあり、捨ててはいけない部分と思っています。特に今日のような劣勢になるとみんなヘッドダウンしてしまいがちですが、そういう時こそみんなに顔を上げてもらえるような言動を心がけています」

「自分たちがやるべきことをまずは愚直にやり続ける」

筑波大を卒業してプロ入りした当初、青木は川崎ブレイブサンダースで出場機会に恵まれない時期が続いた。その後、広島ドラゴンフライズ、仙台89ERSでプレータイムを増やし、特に過去3シーズン在籍した仙台では主力の地位を確立した。

こうして着実に経験を積み重ねてきたことは、今の青木を支える確固たる自信となっているとともに、自分に厳しい姿勢はプロ入り当初と変わっていない。

「試合に出なければわからないことはたくさんあります。仙台で経験を積ませてもらった中でだんだんと見えてくるものが増えてきた自負はあります。他の選手がどう思っているのか、ちょっと気持ちが落ちているのか、ボールが欲しいのかなど、周りに目を向けられるようになってきました。でも、まだまだ昨日も今日も、自分のことでいっぱいになってしまう時もあります。今日は得点源のレイ・パークスジュニア選手がシュートを3本しか打っていない。相手が彼を徹底マークで守ってはいましたが、もう少し彼をからめる動きを取り入れるべきでした。反省しないといけないです」

そして仙台時代に続いて師弟コンビとなる藤田ヘッドコーチとの関係について、熱い胸の内を明かしてくれた。「僕を信頼してくれている存在がいることは心強いですし、その信頼に応えるために大阪に来ました。そして期待を超える働きをしようと努力しています」。

これで大阪は開幕から1勝3敗となった。ここからの巻き返しへ、青木は「勝つために自分たちがやるべきことをまずは愚直にやり続ける。そしてスタンダードを上げていくしかないです」と意気込む。藤田ヘッドコーチは負けが先行しているが、ポジティブな材料もあると語る。「ロスターやバスケットの成熟度は昨シーズンに比べてステップアップしている実感はあります」。大阪の持っているポテンシャルを安定して発揮していくためにも、青木のリーダーシップは重要だ。