「苦い思いを味わいましたが、素晴らしいシーズン」

先週、キャバリアーズのジャレット・アレンが東京都内で行われたNBAファイナルのゲーム3とゲーム4のパブリックビューイングイベントに出席。今回が初来日というアレンに単独インタビューを行った。

まず、激闘が続くペイサーズとサンダーのファイナルについて、アレンは勝敗を分けるポイントを「サンダーは相手のミスにつけ込むのがとても上手いです。ペイサーズがいかに1試合を通して安定したプレーをできるか」と語る。

プレーオフのような短期決戦では、大黒柱以外の選手がいかにステップアップできるかが重要となるが、Xファクターとして次の選手を注目している。「ペイサーズではTJ・マッコネルですね。彼はとても過小評価されている選手で、シリーズの流れを変えることができます。パスに優れ、スティールを奪い、得点力もあります。サンダーではルーゲンツ・ドートだと思います。勢いに乗るとオフェンスで止められない選手となりますし、リーグ屈指のディフェンダーです。彼は1番から5番まで、守ることができます」

今シーズン、キャバリアーズはカンファレンスセミファイナル敗退に終わったが、レギュラーシーズンではカンファレンス1位の64勝18敗で、2009-10シーズン以来となる60勝を記録するなど、見事な戦いぶりを見せた。

「もちろん終わり方は望んだものではなく、苦い思いを味わいましたが、素晴らしいシーズンでした」

こうアレンは総括すると、「ただ、僕たちは多くを学びました。勝つべき試合で負けた時に落ち込むだけでなく、なぜ負けてしまったのか見直し、そこから10連勝とかできました。プレーオフでは望んだ結果とはなりませんでしたが、ここからチームとして成長し、来シーズンはより結束して強いチームになります」と、リベンジへの意欲を語る。

就任1年目にして最優秀コーチ賞を受賞したケニー・アトキンソンは、アレンにとって、古巣のネッツ時代に続いての共闘となった。当時と今の違いを「ネッツでの彼はNBAで初めてのヘッドコーチ職で、当時の僕はルーキーでした。僕たちはともにNBAでどうすれば上手くやっていけるのかを学んでいる期間でした。あれから彼はクリッパーズ、ウォリアーズのアシスタントで経験を積み、僕たちは良いコーチ、選手になるにはどうするべきかを学びました。そして今回、完璧なタイミングで再び一緒になりました」と見ている。

「必要なのは、毎試合安定したプレーをすること」

アレン個人でいうと、全82試合出場で平均13.5得点、9.7リバウンド、リーグトップのフィールドゴール成功率70.6%とシーズンを通して堅実なプレーを披露した。まず、今シーズンに限らずキャリアを通して高い成功率を記録しているシュートについて、「特定のシュートだったり、試合で自分がやる動きについて重点的に練習しています。だから試合であまりやらない、練習でジャンプシュートやドリブルのメニューを多くやることはないです。また、試合でいかにオープンになるのかが大切です」と秘訣を明かす。

また、アレンは味方ハンドラーを助ける正確なスクリーンを遂行する能力にも優れている。「スクリーンをかける角度が重要です」と語ると、選手毎に使い分けている。

「チームメートがそれぞれ好きなスクリーンを使い分けます。ドノバン・ミッチェルとダリアス・ガーランドではスクリーンの種類が違います。ドノバンは左手を使ってスクリーンを抜け、そこから切れ込んでいくのが好きです。ダリアスはスクリーンと密着して動き、そこから3ポイントシュートを打ちます。毎回、スクリーンをかける選手によって動きは違います」

アレンのもう一つの持ち味が、しっかりとプレッシャーをかけつつ、1試合平均のファウルが1.5と少ないことだ。クリーンなディフェンスを継続できる理由を、こう自己分析する。「自分の身体を知ることです。例えばガードの選手を守る時、スペースをより空けることもあります。それは僕のリーチが長いので、スペースがあっても相手のシュートにコンテストすることができるからです。そして相手がドライブした時、彼らの多くはファウルをもらおうと僕の腕に当たりにきます。でも、僕は腕を前に出さないので、ファウルにならないです」

そして「少しは成熟し、賢くなったかもしれないです。より正しいタイミングで、正しい位置にいることでオフェンスの選手にアドバンテージを与えないようにできていると思います」と、これまでの経験をしっかりと生かしている。

一寸先は闇のNBAでは、いきなり衝撃のトレードが実現するなど何が起こるのかわからない。とはいえ、新シーズンのキャバリアーズはアレン、ミッチェル、ガーランドにエバン・モーブリー、ディアンドレ・ハンターなどコアメンバーは揃って契約下にあり、戦力に大きな変化はないと見られている。新シーズンこそ、プレーオフで勝ち進み頂点に立つために求められることをアレンは、「僕たちにとって必要なのは毎試合、より安定したプレーをすることです。僕たちは若く、チャンピオンになれるレベルに達するには何をしていけば自分たちが素晴らしいチームになるのか理解し、それを続けることです」と考えている。