小川敦也

課題だった3ポイントシュートで5本中3本成功

5月23日、Bリーグファイナルのゲーム1が行われ、宇都宮ブレックスが攻守ともにやるべきことを遂行し、81-68で琉球ゴールデンキングスに快勝を収めた。

宇都宮は第1クォーターから3ポイントシュート13本中6本成功と、最大の武器である長距離砲の爆発で主導権を握る。また、琉球の強みであるインサイドに簡単にボールを入れさせないタフなディフェンスを続けてリードを広げていくが、前半の最後に無用意なファウルなどもあり、2ポゼッション差にまで縮められる嫌な流れで前半を終える。

しかし後半の立ち上がり、宇都宮はD.J・ニュービルがタフショットを立て続けに決めて、ここからギャビン・エドワーズの3ポイントシュート、さらに遠藤祐亮の強烈なプレッシャーからニュービルのスティールに繋いでの速攻で、一気に2桁リードと突き放す。その後も宇都宮は、41%の成功率が示すように効果的に3ポイントシュートを決めると、要所でオフェンスリバウンドを取るなど隙のない戦いぶりを見せた。

宇都宮はニュービルが25得点6アシストと大暴れしたが、比江島慎は5アシストの一方で5得点に留まった。ただ、小川敦也が15得点と、比江島の不発を補って余りあるハイパフォーマンスを披露した。

レギュラーシーズンの小川は3ポイントシュート試投数が平均1.0本で、アウトサイドシュートを積極的に放つタイプではない。だが、今日は第1クォーターにいきなり連続3ポイントシュート成功で宇都宮に流れを引き寄せ、3ポイントシュート5本中3本を決めた。クォーターファイナル、セミファイナルの5試合で3ポイントシュートは計9本中2本成功と当たっていなかったのが、この大舞台で過去5試合を上回る本数を沈めた。

オフェンスの起爆剤となった小川は、「アグレッシブにプレーした結果が今日は得点に繋がりました」と振り返る。

3ポイントシュートについて「ずっと課題として練習に取り組んできました。『空いたら打て』とヘッドコーチやチームの方々が言ってくださっていて、今は打つことに自信を持てています」と続ける。

小川敦也

「次の2戦目に勝った方が優勝するくらいの気持ちで」

小川の3ポイントシュートが試合に与えた影響の大きさについて、チームリーダーの遠藤祐亮は「今日は敦也が流れを作る3ポイントシュートを決めてくれました」と称える。また、「レギュラーシーズンで琉球とやった時、敦也はピック&ロールでアンダーされていました。それが前半に3ポイント決めたので、後半からは抑えるためにハードショウみたいな感じで対応してきました。こうして彼が見返した姿を見られた部分でも良い試合でした」と、後輩のステップアップを誇った。

小川の持ち味は、190cmのサイズと卓越した跳躍力を生かした迫力満点のドライブだ。最も警戒すべきはドライブだからこそ、相手は対策として下がって守ってくる。しかし、今日のように3ポイントシュートを決めれば、相手は前に詰めてディフェンスせざるを得なくなり、これによってドライブの脅威はさらに増す。

それが実際にこの試合の後半に起こり、小川は「3ポイントシュートを決めたことで琉球が少し守り方を変え、ドライブレーンが見えたのでアタックできました」と語る。

小川がアタックしてズレを生み出せば、今後はビッグマンたちが3ポイントシュートを打ちやすくなる。今日の小川は前半に3ポイントシュート、後半はドライブと違った武器で琉球ディフェンスを攻略し、この試合の主役となった。

攻守ともに会心のパフォーマンスを見せて快勝するも、小川に気の緩みはない。千葉ジェッツとのセミファイナル、ゲーム1で快勝した後のゲーム2で大敗した苦い思いを繰り返さないために「1勝はできていますが、次の2戦目に勝った方が優勝するくらいの気持ちで臨みたいです」と、勝って兜の緒を締めている。

小川が今日のようにドライブ、3ポイントシュートの両方で琉球ディフェンスを崩すことができれば、宇都宮が優勝する可能性は大きく高まる。