「僕が選ばれないのであれば、日本バスケットボール界にとっての成長にも繋がる」
バスケットボール男子日本代表は『アジアカップ2025予選Window2』に向け、強化を進めている。
トム・ホーバスヘッドコーチより、比江島慎のキャプテン就任というサプライズがあった中、前主将の富樫勇樹は「不安です」と報道陣の笑いを誘いつつ、「(代表)経験のない選手が多いので、比江島キャプテンとともに引っ張っていけたら」と、彼に寄り添う形でサポートしていく意向を示した。
富樫はパリオリンピックを終えた後、代表の進退について自身のXで言及。様々な思いがあったが「必要とされるなら楽しみたい」という、新たな価値観で代表活動に参加することを決めた。それはアスリートである以上、代表は誰しもが目指す場所であると腑に落ちたからだ。
「オリンピックという一番大きな大会で代表を引退するのが綺麗だと思います。でもバスケットをやっているうちは、代表は常に目指すべきところではあるのかなとやはり思ったので。引退する時が代表も最後になる時だと思っているので、常に代表に入れるようなプレーを今後もしていきたい、そういう気持ちで現役生活を続けていきたいと思います。一つずつWindowを重ねて、自分の身体とプレーと相談をしながら今後やっていけたらいいと思っています」
代表引退を思いとどまった富樫だが「監督に呼んでいただけるかどうか」と言うように、謙虚な発言が目立った。当然ながら、今までのように自身が代表を引っ張っていくというガツガツした思いはない。そして、新たな世代を後押しすることが存在意義だと言っているように映った。
「僕が選ばれないのであれば、それは日本のバスケットボール界にとっての成長にも繋がると思います。2月がどうなるかも分からないですし、いろんな選手を試したいところもあると思う。河村(勇輝)選手のバックアップとしてオリンピックに出ましたけど、大きい選手を育てたいところも絶対にあると思います。技術面だけじゃなく、チームのことで伝えられることはあると思っていて、特にBリーグの試合との違いをすごく感じると思います。僕はずっと経験が一番大事だと言ってきて、今回は世界じゃなくアジアですけど、初めての選手は大きなモノが得られると思います。チームメートとして、しっかり声をかけながら練習でやっていきたいです」
富樫が言及したように、今回のメンバーは代表経験が少ない選手が多い。特にバックコート陣はそれが顕著だが、富樫は「全く問題なくやっていけるんじゃないか」と背中を押す。「今一緒に練習しているポイントガードの選手は、Bリーグではすごく結果を残している選手で、オリンピックの直前までいた佐々木(隆成)選手ももちろんそうです。中村(拓人)選手、1、2番の両方だと思いますが、大浦(颯太)選手の2人と一緒に練習していますが、Bリーグで何度も対戦したすごく力のある選手です」
決意新たに代表での活動を再開した富樫。スコアリングガードとしてのプレーだけでなく、豊富な経験をチームに伝えるメンターとしての働きにも期待したい。