互角の展開の末に訪れた、スリリングな最終盤
3月19日、アルバルク東京が敵地でサンロッカーズ渋谷と対戦。ディアンテ・ギャレットが試合終了と同時に決まるブザービーターを沈めて66-64と劇的勝利を収め、ともに渋谷区の会場をホームアリーナーとする『渋谷ダービー』を前日に続いて制した。
95-63でA東京が圧勝した前日は、第1クォーターでいきなり27-3とA東京が大差をつけ、そのまま一方的な展開となった。しかし、今日はSR渋谷が広瀬健太の連続得点などで、第1クォーター序盤に13-4とリード。これで流れをつかむと、34-26とSR渋谷が先行して前半を終える。
後半に入るとA東京は松井啓十郎、正中岳城の3ポイントシュートなどで追い上げ、SR渋谷1点リードの46-45と全くの五分で勝負は第4クォーターに突入する。
第4クォーターに入っても一進一退の攻防が続く中、A東京は4点を追う残り1分から竹内譲次が2回連続のバスケット・カウントを決め、残り33秒に2点を勝ち越す。だが、SR渋谷は本日、21得点を挙げたロバート・サクレのシュートで残り17秒に64-64と追いつくと、A東京はタイムアウトをとって最後のオフェンスに備える。
そして迎えたA東京の最後のオフェンス。ボールを持ったギャレットにスクリーンをかけることで、彼をマークする相手がアキ・チェンバースからサクレに変わる。そしてギャレットは得意とする切れ味鋭いフットワークでサクレを左右に揺さぶると、試合終了直前に3ポイントラインの少し内側に入った位置からシュート。試合終了のブーザーが鳴り響く中、ボールは見事にリングへと吸い込まれ、A東京が激戦を制した。
8得点と不調のギャレット、最後の最後で大仕事
「コーチ、チームメートが自分を信頼してボールを渡してくれた。そしてゲームウィナーを決めることができたよ。今日は第2クォーター、第3クォーターであまりプレーできず、多くのシュートを外してしまったが、チームメートが素晴らしい仕事をしてくれた。譲次が終盤にバスケットカウントを決めるなど、みんなが必要とされるプレーをして貢献し全員でつかんだ勝利だ」
このように語るギャレットは、試合全体を見ると今日はフィールドゴール12本中わずか3本成功のみの8得点と低調な内容。しかし、ここ一番でエースの本領をしっかりと発揮。そして最後の決勝弾を沈めた後、この試合を観戦していた父、母、息子、フィアンセたちの方向に指をさしていた。
A東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは、「昨日は怖いぐらいにシュートが入り、判断すべてが良かったです。逆にサンロッカーズさんの方は『どうした?』というプレーが多かったので、絶対に今日はこういうタフな試合になると話していました。出だしでソフトになってしまった部分があったのは反省すべき点と思います。ただ、昨日とは全く違った試合で勝てたのは、チームとしてステップアップできました」と、劣勢からスタートした試合で勝ち切ったことに手応えを得ていた。
敵将も脱帽「決めたギャレット選手が見事でした」
そしてギャレットの決勝弾については「ディアンテか、大貴どちらかがボールをもらう。ショットクロックは使いきるしかない。相手がどんなディフェンスをしてくるのか分からない。残り2秒、3秒になってから相手がダブルチームをしてくるかもしれないですし、最後は選手の判断に任せました。正しい選手を正しい場所に置いてプレーさせ、ディアンテが良い判断をしてくれたと思います」と振り返っている。
一方、SR渋谷のBTテーブスヘッドコーチは、「本当に心が痛む、辛い負けになりました。昨日より良いプレーをしたが、勝利に一歩足りなかった」と肩を落とす。最後のプレーに関しては、対応自体は間違っていなかったと振り返る。「あの場面では、他の多くのチームも(彼へのマークマンを)スイッチをすると思います。スイッチをしないとゴール下へとアタックされてしまう。そこでヘルプに行くことで、彼にノーマークの選手へとパスをされてしまいます」
「なので、最後はサクレがギャレットに付く状況を予測していました。(213cm)の彼がギャレットの正面に入り、シュートに対してしっかり腕を伸ばしきっていました。その上でシュートを決めたギャレット選手が見事でした」と、難しい局面でシュートを決めたギャレットに敬意を表していた。
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