文=宮地陽子、小永吉陽子 写真=小永吉陽子

「試合の慣れは大きいんじゃないかと思います」

──実際にプレーの面では手応えはどうですか?

八村 プレーの面では、今もまだあるんですけど小さいミスが多くて。最初来た時はキャッチもできないくらいで。

──11月5日のエキシビションゲームでも、試合に出て最初のプレーでキャッチミスをしていましたね。

八村 それもまだあります。夏にここに来た時、本当に何もできなくて、バスケを初めてやった時のような感覚になっちゃって。まあでも、だんだん慣れてきました。

──日本でやっていた時と、何が一番違いますか?

八村 バスケは変わらないんですけれど、自分にプレッシャーをかけすぎて。今までできていたプレーができないこともありました。今はだんだん戻ってきたというか、慣れてきて、普通のプレーになってきたんじゃないかなと思います。でも、まだミスが多いから、そこはもっとちゃんと集中して気を付けて直していきたい。だんだん、ちょっとずつ、ちょっとずつやっていきたいなと思います。

――忘れていた感覚を取り戻せば、ゴンザガでやれるという手応えはありますか?

八村 全然通用します。全然できます。全然やれます。

――今日は試合中に、ブロックとかスティールのハッスルプレーを評価してくれたようで、「塁コール」が起きて、たくさんの応援がありましたね。

八村 はい。ゴンザガのファンは本当にいい人たちで。僕はまだ何もしていないのに、僕の何を見てくれているのか分からないですけど、応援してくれるんですよ。ここの雰囲気とか、ファンは本当に好きですね。

――エキシビションゲームや11月11日の開幕戦では、だいぶ緊張していたように見えました。

八村 やっぱり、最初はすごく緊張していて、それからだんだん慣れてきました。今は(エキシビションゲームを入れて)4試合目なんですけど、今日の試合なんかは緊張しなくなって、試合の慣れは大きいんじゃないかと思います。そう考えると、やっぱりレッドシャツにするかしないかの判断は大きなものだったと思います。レッドシャツにしなかったので、そういうところで慣れてきています。1年間ずっとベンチに座っているよりはずっといいと思います。

「思い切りが出ないと僕は全然ダメなので」

――ヘッドコーチはバスケットの用語でも違いがあるから、それも覚えなくてはいけないと言っていました。用語の違いは感じますか?

八村 用語はそんなに違うわけじゃありませんが、発音とかは違います。今一番大変なのはヘッドコーチとのコミュニケーションです。ヘッドコーチは試合の中で僕にゆっくり教えられないじゃないですか。その中で僕が理解できないとヘッドコーチのストレスになるし、僕もストレスになるし。その中でもケンさんが助けてくれたり、マネージャーやコーチも僕にゆっくり教えてくれて、練習中でも試合中でも僕に付き添ってくれて、コートでプレーしない時もずっとその人たちと話していて、『こうするんだ、ああするんだ』って教えてもらっています。

でも、これから先もずっと付き合ってもらうことはできないので、そこはしっかり直したいです。というか、直すも何も、コーチとのコミュニケーションが本当に大事だなあと思います。

――ヘッドコーチから求められていることは何ですか?

八村 ほんとガッツリ行けってやつです。攻めろ、だけです。もっとハードにプレーしろと。

――ヘッドコーチは集中力を上げる必要があるとも言っていました。今までとは違うレベルでやるのだから、もう少しインテンシティを上げてやらないと、と言っていましたが、そういうことも感じますか?

八村 もっと思いっ切りやれということですね。それが一番。思い切りが出ないと僕は全然ダメなので、思いっきりやれと。そういうところですね。

――今のポジションは? 将来的にはどこのポジションを希望していますか?

八村 これはコーチの考えや、チームにどう合うかだと思うので。チームに4番(パワーフォワード)のポジションが意外と多いので、それを考えると、もっとアウトサイドのプレーや他のポジションができればいいと思ってます。そのほうが試合に出る可能性もあると思うので。

「よく食べているから身長も伸びているし体重も増えている」

――身長も身体の幅も目に見えて大きくなっているけれど、正確にはどれくらい身長が伸びて、体重はどれだけ増えましたか?

八村 身長は伸びています。ここに来た時は6'7"(約201cm)だったのが、6'9"(約206cm)になりました。

――それはシューズを履いて? 素足で?

八村 シューズを履いてです。

――体重は?

八村 去年から10kgくらい増えました(※1)。ここに来て増えた理由は毎日食べているからです。一日に5食も6食も食べるんです。学食みたいなところで毎日何回でも食べられるので。スカラシップ(奨学生)だと、ご飯は学校内のどこでも食べられるんです。たくさん食べているのが大きいんじゃないかなと思います。それと毎朝ウエイトトレーニングをやっているので。

――体が大きくなったことで、プレーがやりにくいということはないですか?

八村 動きはもっと良くなっていると思います。だから筋肉がついたんじゃないかと思います。

――シーズンが始まって、現在の一日のスケジュールは?

八村 毎朝8時からウエイトトレーニングを1時間くらいやって、そのあと午後3時まで授業。そのあと、だいたい2時間くらいチーム練習をして、終わったあとにご飯を食べて、それから個別で勉強です。チューターと毎日2時間くらいやっています。その後、コーチやマネージャーと一緒に個人練習をやります。あとは宿題があれば宿題をやって……。

とにかく毎日忙しいですね。最初はすごく大変で余裕がなかったんですけど、今はやれています。それは周りの協力のおかげなので、本当にありがたいです。

――チームメートとのコミュニケーションは取れていますか?

八村 チームメートとは慣れてきたので大丈夫です。最初に来た時は何を言っているのか全く分からなかったけど、最近は何を言っているのか分かるようになってきました。ここで一番大変なのは話すこと。伝えるのが大変ですね。聞くのは本当に慣れてきました。

――これからの課題や目標を聞かせてください。

八村 これからはコミュニケーションが一番大事だと思っています。バスケも全然やれますし、あとは勉強も大事。今はそんなに良い成績ではないんですけど、これからもっと上げていかないと。やっぱり、一番大事なのはコミュニケーションと思い切ってプレーすることだと思います。

編集部注
※1 昨年12月のウインターカップ時の体重は98kg。その後のウエイトトレーニングの結果、5月の渡米時で100kg、現在は108kg前後。

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