守備にも自信「フィジカルにファイトできるところも自分の良さ」
バスケットボール男子日本代表はイランとの国際強化試合『SoftBankカップ2022』第1戦に臨んだ。日本は粘り強い守備を軸に馬場雄大が得意のランニングプレーでスコアして前半を9点リードで折り返したが、ペリーメーターのシュートなどを高確率で決められてしまい第3クォーターに逆転を許した。それでも、須田侑太郎が後半だけで5本の3ポイントシュートを沈めたことでリードを奪い返すと、最後まで集中力を切らさずに82-77で競り勝った。
須田は7本中6本の3ポイントシュートを沈め、チームハイの20得点を記録。連続で長距離砲を決め続けたことで相手の警戒も強まったが、オフボールムーブで正確なポジションを取り、マークマンが目の前にいても迷いなくシュートを打ち続けた。思い切りの良さが特に目立ったが、それはトム・ホーバスヘッドコーチからかけられたある言葉によってもたらされたという。
「今回は後半に迷いなく打ち切れました。でも以前の合宿で迷っている部分だったり、ここまで思い切り良く3ポイントシュートを打てていない自分がいたんですけど、トムさんが『須田の武器は3ポイントだよ』と言って明確にしてくれました。良いシュートを打ち切ることにフォーカスして毎回練習していますし、その成果が出たかなと思います」
イランは第3クォーターに逆転し、最後まで拮抗した展開に持ち込み、アジア最上位の実力を証明した。それでも「第4クォーターの須田の3ポイントシュートで勢いを失ってしまった。新人が多いので、ああいう得点の仕方をされ、どう対処すればいいのか分からなくなってしまった」とイラン代表の指揮官が振り返ったように、須田のパフォーマンスが想定外だったという。
須田と言えば、アジアカップのシリア戦で3ポイントシュートを12本中9本成功させ、キャリアハイの33得点を挙げた試合が記憶に新しい。そのため、シューターのイメージが先行するようになったが、もともとはタフなディフェンス力を評価されてきた。実際に須田も「フィジカルにファイトできるところも自分の良さ」だと語った。
「ヒットファーストで相手に気持ち良くプレーさせないということをBリーグでもずっとやってきました。そこは誰にも譲れない部分です。サイズがなくてもフィジカルで嫌がらせて、フラストレーションを溜めるようなディフェンスをしていきたい」
「相手ディフェンスの気の緩みの中で打ち切ることを意識」
日本の前半の3ポイントシュート成功率は21.4%と低調だったが、須田が後半に高確率で決めたことで、試合を通しての3ポイントシュート成功率は37.1%まで上昇した。日本は成功率40%をボーダーにしているため今回の結果は及第点と言えるが、5点差での辛勝ということを考えると、やはり今回の須田のように誰かの爆発が求められる。結果を残した須田へのマークは今後さらに高まることが予想されるが、スペーシングを意識し、一瞬の隙を突いてそのマークをかいくぐりたいと意気込んだ。
「ここまでいろいろな試合を経験してきて、自分よりもサイズが大きい相手に対しては少しのアドバンテージやズレでしっかりと打ち切らないといけないと思いました。ハンドオフやピック&ロールの際に、相手ディフェンスの気の緩みの中で打ち切ることを意識しています。スペーシングがかなり重要になってくるので、より深めにスペーシングを取って、ディープからもシュートを打てるように練習しています」
明日の第2戦も含め、代表争いは今後も続いていく。再びの長距離砲炸裂により、『3&D』プレーヤーとしての評価を大きく高めた須田は、シューティングガード争いで一歩抜け出した。