「あきらめずついていこう」が呼んだ大逆転勝利
10月6日、川崎ブレイブサンダースは敵地での千葉ジェッツ戦で、前半途中につけられた21点差を跳ね返し68-66で激戦を制した。この大逆転劇の立役者の一人が長谷川技だ。
この試合、長谷川は第2クォーター残り1分を切ってから3ポイントシュートを2本連続で成功。これで川崎は点差を12点にまで縮め、良い流れでハーフタイムに突入したことが、第3クォーターでの猛攻を導くきっかけとなった。また、第4クォーターの僅差で推移する息詰まる展開の中でも、3ポイントシュートを要所で2本成功。持ち味である守備での安定したプレーに加え、試合全体で3ポイントシュート6本中4本成功の12得点、4アシストと見事なパフォーマンス。北卓也ヘッドコーチも「終盤、長谷川がコーナーからの3ポイントシュートでつないでくれました」と称えた。
「一昨日の試合に勝ったことで、今日は当然、千葉さんが最初からハードにやってくると思っていたんですが、そこで後手後手になって、点差も離れてしまいました。そこからあきらめずついていこうと話してやった結果、勝つことができて良かったです」
このように試合についてまず語った長谷川は、何よりも守備を勝因に挙げている。「この2試合、ディフェンスが良かったです。今日も点差がついた時でも、あきらめずディフェンスをしっかりやることで、そこから自分たちのオフェンスへとつながっていきました。ディフェンスは、やっぱりウチの鍵だと思います」
チームに勢いを与えた連続3ポイントシュート
悪い流れを変える契機となった前半終盤の連続3ポイントシュートについては、「ああいう流れの時に決めたいとは思っています。」と言う。振り返れば8月のチーム始動直後にインタビューした際、長谷川は昨シーズンの印象的な出来事として、チャンピオンシップの千葉戦において自分へのマークを捨てられたことへの苛立ち、その結果として生まれたシュートチャンスに決め切れなかったことへの悔しさを語っていた。
今回、この点について尋ねると「あの時はそう言っていましたけど、そこまで意識してなかったです(笑)」と語るのみ。しかし、「長谷川をフリーにしたら決められるというイメージを与えられたのでは?」との問いには、「それはデカイと思います。相手にそういう意識を持ってもらえれば、辻(直人)とかニック(ファジーカス)がやりやすいかなとは思います」と力強くコメントした。
また、長谷川は今オフに、「インサイドの守備でやられてしまっていた部分があったので鍛え直そう」と体重を増やしパワーアップを図った。千葉には日本人フォワードでは随一と言えるポストアップからのパワープレーを得意とする小野龍猛はいるが、この2試合、長谷川がそのポストアップからの攻めにしっかり対応できたことも忘れてはならない。
肉体改造の成果については「そうなんですかね、そうなのかな(笑)。相手の特徴とかを研究した結果と思います」と明言を避けたが、小野へのディフェンスについて手応えはあった。「ファウルは多かったですが、1対1ではまあまあ抑えることはできていたとは。北さんからも一昨日、今日と良いディフェンスだったと言ってもらえました」
「もうちょっと自分から積極的にやっていきたい」
要所でシュートを沈め、ゴール下での堅実な守備を見せる。この開幕節は長谷川にとって、昨シーズンの課題からの進歩をしっかり示せた2試合となった。ただ、「平均2桁得点を目標とする中、1試合目は2点と全然でした。もうちょっと自分から積極的にやっていきたいですね」と長谷川自身に満足感は全くない。
いよいよ次の金曜日はホーム開幕戦。「この2試合を連勝できたのは大きいので、この勢いを繋げていきたいです。個人としてもお客さんを魅力できるプレーを常にやっていきたい」と意気込みを語る。長谷川が十八番であるコーナーからの3ポイントシュートを決めることで、とどろきアリーナに集まったファンを沸かせる姿を大いに期待したい。
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