バム・アデバヨ

「復帰戦で勝つのは良いことだし、今日はそれが一番大事だった」

ヒートのバム・アデバヨは右親指の靭帯断裂で1カ月半の戦線離脱を強いられた。ジミー・バトラーも尾てい骨のケガが長引き、万全の状態ではない。だが、看板選手を2人失ってもヒートはしぶとく勝利を重ね、アデバヨ不在の間を14勝8敗で乗り切った。

アデバヨの復帰戦となった現地1月17日のラプターズとの試合は、チーム全体のコンディションが勝敗を分けた。ジャスティン・シャンパニーが試合途中でケガをしたこともあり、実質6人ローテで主力がフル稼働したラプターズは善戦したが、9人で戦うヒートが終盤になるとエネルギーで上回った。2桁の点差が付くことは一度もない接戦ではあったが、ヒートが104-99と押し切った。

右手の親指にサポーターを着けてプレーしたアデバヨは、フィールドゴール12本中4本成功とシュートタッチに苦しんだが、フリースローで得点を繋いで14得点を記録。さらには9リバウンド2アシスト1スティール1ブロックと、久々の実戦ながら上々のプレーを見せた。サポーターを着けていたのは「それで安心できるから」との理由で、もうケガは完治してプレーへの影響はないそうだ。

「チームは調子が良くて、僕をその流れに乗せようとしてくれた」とアデバヨは言う。「復帰戦で勝つのは良いことだし、今日はそれが一番大事だった。チームメートのみんなとバスケをやって勝つ、僕の大好きなことからしばらく遠ざかっていたからね」

プレーできない間も、彼はできる限りチームと行動をともにし、遠征にも同行していた。「みんなと一緒じゃないと退屈するんだ。いつも一緒にいて、僕のエネルギーを送り込む。コートにいなくても何らかのプラスになりたかった。楽しい経験だったけど、やっぱりプレーするのが一番だね」

アデバヨが不在の間、ヒートを引っ張ったのはオメール・ユルトセブン、ゲイブ・ビンセント、ケイレブ・マーティン、マックス・ストゥルースといった控え選手たちで、彼らを軸にバックスやブルズ、サンズ相手にも勝った。ヘッドコーチのエリック・スポールストラは好調揃いの選手たちの起用法を「悩ましい選択だ。全員が心地良く自信を持って、リズム良くプレーするためにローテーションを組み立て、必要に応じて調整する」と語るが、彼が悩めば悩むほどチームは充実していることになる。

もっとも、アデバヨの考え方はシンプルだ。「僕たちは素晴らしいチームで、恵まれている。みんなこの状況は理解しているし、競争して仕事を成し遂げたいと思っているよ」

ラプターズ戦を個人的な理由で欠場したカイル・ラウリーが戻ってくれば、いよいよヒートは『完全体』となる。東カンファレンス首位のブルズはここに来て4連敗と失速。苦しい時期を乗り越えたヒートはゲーム差なしの2位と肉薄している。アデバヨ復帰の勢いで、さらに調子を上げたいところだ。