常田コーチ「トーナメントは勝ち続ければチャレンジができます」
夏のインターハイを制した中部大学第一(愛知)が、ウインターカップ初戦で洛南(京都)と対戦して、89-76で勝利した。
第1クォーターは19-14と拮抗したが、第2クォーターはリバウンドからのトランジションバスケで中部第一が主導権を握り、45-27で前半を終えた。シード校の中部第一にとってはこの試合が初戦だったこともあり、全体的にシュートタッチが良くなかったが、前半だけでリバウンドを35-17と制したことでゲームを支配した。しかし、中部第一の常田健コーチが「ルールは破るためにあるのかな? というぐらいルールを守れていなかった」と試合後に苦笑いしたように、後半は前半とは異なる試合展開となった。
中部第一は最初からゾーンディフェンスを敷いていたが、後半になると洛南の速いボール回しに翻弄され、高確率でアウトサイトシュートを許してしまった。また、ベンチから出場した洛南のポイントガード、杉信イフェアニのフィジカルとスピードを生かしたアタックを止められず、一時は20点もあったリードが最終クォーター残り6分半の時点で1点差にまで詰められた。
しかし、中部第一はここから気合を入れ直す。前半はシュートが不調だった3年生の田中流嘉洲が「最後は自分がやらないと逃げ切れないと思った」と試合後に語ったように、力強いプレーでチームを牽引。インサイドでは身体を当てながらもシュートをねじ込み、洛南を突き放した。終盤には洛南からオールコートプレスをかけられたが、司令塔の下山瑛司が持ち前のスピードと広い視野を生かしてボールを前へと運ぶことで、逆転を許すことなく勝利を収めた。
昨年のウインターカップは初戦敗退で終わっている。それだけに常田コーチは「ウチは初戦なので、内容より勝つことが大事」と語った。それでも「洛南さんの圧とかではなく、自分たちのマインドの設定に不安を感じるゲーム展開でした。ウチがちょっと弱気で釘を刺したけど、久々の東京体育館ということもあり、良くないところが出てしまいました」と続けた。
23得点14リバウンドを記録して勝利に貢献した田中は、「良い試合ではなかったと思います。僕も最初は硬くて、自分の強みが出せませんでした。でも、チームが助けてくれて最後の最後は自分もスムーズにやれて良かったです」と振り返った。
中部第一は明日の3回戦で強豪の福岡大学附属大濠と対戦する。常田コーチは「明日はこんなバスケをやっていたら勝てないですが、トーナメントは勝ち続ければチャレンジできます。今日はなんとか勝ちを拾えたので、明日は開き直ってウチらしいバスケで勝ち切りたい」と意気込む。
そして、田中も「ディフェンスからのブレイクが僕たちの強みなので、そこを出して戦っていきたい」と抱負を語った。