終盤にインサイドプレーが機能したことで逆転勝利
ウインターカップ1回戦、福岡大学附属若葉(福岡)vs奈良文化(奈良)の一戦は最後まで拮抗した展開が続いた。
奈良文化はインサイドにボールが入った瞬間にダブルチームに行き、素早いローテーションでズレを作らないゾーンディフェンスが機能した。3ポイントシュートを単発で許すことはあっても、完全には崩されない。オフェンスでもセンターとのスピードのミスマッチを誘発し、縦への突破を連発したことで、第3クォーターにはこの試合最大となる8点のリードを奪った。
トランジションから3ポイントシュートや高さを生かしたインサイドプレーが持ち味の福大若葉だが、得意なプレーを潰されて追いかける展開が続いた。特にセンターの柿元舞音はペイントエリアでの得点が伸びず、ドリブルを狙われてボールを奪われるなど低調なパフォーマンスとなり「ずっと泣きそうでした」と語ったほど心が折れかけていた。それでも、「上手くいかない時間帯が多くて、モチベーションも下がっていたので、ずっと声をかけ続けました。リバウンドに絡んだら良いことがあるよと言い続けたら、頑張ってくれました」と語る加藤愛香の存在が励みとなり、気持ちを持ち直した結果、終盤に大仕事をやってのけた。
第4クォーター残り3分半、柿本はオフェンスリバウンドに飛び込み、空中でキャッチしたボールをそのまま押し込んでバスケット・カウントを獲得。ボーナススローを落としたものの、加藤がオフェンスリバウンドを奪い、ゴール下を決めて同点に追いついた。さらにインサイドを支配し始めた柿本はシュートミスを自らフォローしてシュートファウルを獲得。このフロースローを2本とも成功させて逆転に成功した。その後、山下莉来の3ポイントシュートでリードを6点に広げた福大若葉が最終スコア59-57で逃げ切った。
強力なインサイド陣に加え、トランジションから3ポイントシュートを連発するスタイルが福大若葉の持ち味だが、池田憲二コーチが「波に乗れないまま最後まで行ってしまい、ひどいゲームでした。トランジションが全く出なく、本当に面白くないバスケットでした」と苦笑いするほど、持ち味を生かせなかった。
そのため、最終クォーターに8得点を固めた加藤も「うれしいというより、もっと自分が良かったら最初からチームが圧倒的に勝てたと思って……」と、ネガティブな感情が最初に来ていた。そんな後輩を励まし続けた加藤は17得点21リバウンドを記録して、チームの危機を救った。そして、「内容は良くなかったですけど、目標のベスト4の通過点なので勝てて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。
チームの持ち味を生かせないながらも初戦を通過した福大若葉。このギリギリの戦いを糧にし、トランジションと3ポイントシュートを上乗せできれば、ベスト4進出は実現可能な目標となる。